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 東日本大震災発生から11年がたち、今年も3月11日を迎えました。月日が過ぎるのは早く、あの日から11年が経過したのかと驚く一方で、美しい風景と日々の暮らし、そして大切な人たちを襲った巨大津波を思い出すと今も胸が締め付けられます。

 そして、東京電力・福島第1原子力発電所の水素爆発の映像もまた、忘れることができません。この事故を契機に、ようやく日本でも再生可能エネルギーの導入が本格化しました。電力システム改革の御旗の下、電力全面自由化が実現しました。

写真は福島県のひまわり畑と風力発電(出所:123RF)
写真は福島県のひまわり畑と風力発電(出所:123RF)

 原発事故で故郷を離れざるをえなくなった多くの方々の耐えがたい苦しみ、悲しみの上に、日本の電力業界は歴史的な転換へと動きだしました。さらに、世界は脱炭素へと舵を切り、日本も遅れまいと2050年のカーボンニュートラルを宣言するに至りました。

 再エネの推進、電力自由化、脱炭素。いずれも世界各国が実施している施策です。ですが、3.11を経験した日本が真っ先にやらなければならなかったのは、原子力をどうするのかという大方針を決めること。3.11から11年がたった今も、原子力議論は壺の中にしまい込んで、蓋をしたままです。

ウクライナ侵攻、世界でエネルギー議論が始まった

 2月24日、ロシアがウクライナに侵攻しました。それから2週間が経過しましたが、いまだ停戦のめどはまったく立たず、日々悲惨な映像が流れてきます。同時に、世界的なインフレ懸念が強まっています。ロシアは世界有数の資源国であり農業国です。原油先物価格は一時高騰し、小麦などの穀物の供給へ不安が募っています。

 西側諸国はロシアへの経済制裁を強めていますが、エネルギー輸出の途絶リスクが判断を難しくしています。ロシアの石油輸出量は世界の2割を占め、天然ガスは4割を占めています。ドイツは天然ガス輸入の6割超がロシアからです。今、ロシアからの天然ガス輸入が止まれば、暖房需要を満たせず、人命に関わる事態になる可能性があるのです。

 だからこそ「国際銀行間通信協会(SWIFT)」からロシアを排除するに当たって、天然ガス輸入の決済が止まらないよう、ロシア最大の銀行であるズベルバンクとガスプロムバンクを外しています。他方、米国はロシア原油の輸入停止に言及していますが、これは米国が資源輸入国から輸出国へと転換を果たしたからこそできたことです。

 欧州では今、電源構成について緊迫感を持った議論が行われています。EUは2月に持続可能な製品や事業を示す「EUタクソノミー」に厳しい条件付きで原子力と天然ガス火力を追加していました。ですが、ロシアによるウクライナ侵攻を受けて、天然ガス火力はもし条件がさほど厳しくなかったとしても、減らしていかざるを得ないでしょう。

 ロシアへの依存度を下げながら、自国民の人命と経済活動を守るためにどうすれば良いのか、是々非々で検討しているのです。この議論がロシアに経済制裁の本気度を伝え、国民やマーケットへの不安解消につながっています。