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 アステラス製薬が臨床試験(治験)をリモート化するための体制整備を急いでいる。デジタル技術を活用することで通院などの患者の負担が少なくなれば、治験参加者が集まりやすくなり薬の開発期間を短縮できる可能性がある。現在米国で進めている治験で試験的に導入しており、今後3~5年以内のプラットフォーム構築を目指す。

 治験とは、創薬研究で得られた医薬品候補の物質について、実際に人間へ投与することで安全性や有効性を確かめる試験のことだ。年齢や性別などの属性も考慮して健常者や対象疾患患者など様々な人に試験へ参加してもらい、性質を統計的に検証する必要がある。

従来の治験では参加者が何度も医療機関を訪問する必要があった
従来の治験では参加者が何度も医療機関を訪問する必要があった
(出所:123RF)
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 参加への同意の取得や評価項目の測定は医療機関で実施されることが一般的で、参加者は何度も医療機関に足を運ぶ必要があった。日本で行われた調査によると、臨床試験に参加して悪かったこととして拘束時間の負担や通院の負担が上位に挙げられており、同様の結果は米国でも指摘されている。

 デジタル技術の力を借りてこうした拘束時間や通院の負担を軽減する試みが「分散型臨床試験(Decentralized Clinical Trials、DCT)」だ。リモート治験やバーチャル治験とも呼ばれる。アステラスが2020年末から米国で進めている、遺伝性筋疾患の一種であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの治療薬「ASP0367」の治験は、同社にとってのDCT導入のパイロット的事例だ。現在はフェーズI/IIという初期段階の試験中で、通院の半分程度をDCTに置き換えている。