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 トヨタ自動車は2022年3月15日、燃料電池車(FCV)の「MIRAI」に利用している樹脂製水素タンクと水素センサー、自動遮断弁などの安全装置を統合した「水素貯蔵モジュール」を開発したと発表。そのコンセプトモデルを、翌日からの総合展示会「スマートエネルギーWeek 2022 春」(2022年3月16~18日、東京ビッグサイト)中の「第18回 FC EXPO 水素・燃料電池展」に出展した。

水素貯蔵モジュール「TC4」(右)とFCモジュール(左)
水素貯蔵モジュール「TC4」(右)とFCモジュール(左)
(写真:日経クロステック)
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TC4のシステムモニター
TC4のシステムモニター
タンク4本の水素の利用状況や水素センサーの検知データの推移などが表示されている(写真:日経クロステック)
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水素貯蔵モジュール「TC10」
水素貯蔵モジュール「TC10」
(写真:日経クロステック)
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2022年発表の水素貯蔵モジュールのラインアップ
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2022年発表の水素貯蔵モジュールのラインアップ
(写真:日経クロステック)

 想定するのは水素の貯蔵や運搬。その用途ではこれまで、充填時圧力が14.7MPaまたは19.6MPaの金属製ボンベ(またはシリンダー)を数本~20本超束ねた「カードル」が使われてきた。

 一方、この水素貯蔵モジュールの水素貯蔵時の圧力は、FCVへの水素充填時と同じ70MPa(約700気圧)。3~4倍超も高圧でありながら樹脂製のボンベにすることで、同じ水素量であれば体積を約1/4~1/3に小型化し、それでいて軽量化も果たせることになる。

 開発の理由は、FCV用の樹脂製高圧水素タンクに対して、「鉄道、船舶、港湾での荷役機器、定置式発電機などにも利用したいという要望を多数いただいたから」(同社)だという。トヨタ自動車は2021年に、MIRAIから燃料電池(FC)スタックを切り出してモジュール化した「FCモジュール」製品を発表し、発売している。このFCモジュールと今回の水素貯蔵モジュールを、さまざまな用途に横展開していく戦略のようだ。

想定する用途展開
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想定する用途展開
2021年に発表したFCスタックのモジュール(FCモジュール)と併せて、さまざまな横展開を想定している(写真:日経クロステック)