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 「満額回答ではない」。株式投資型クラウドファンディング(以下、投資型CF)事業を手掛けるイークラウド代表取締役の波多江直彦氏は、2022年1月29日に施行された投資型CFに関する法改正についてこう話す。

 投資型CFはベンチャー企業の資金調達手段の1つで、ネットを通じて未上場株への投資を募る。企業は短期間で資金を調達できるほか、自社を応援するファン株主を形成できるといったメリットがある。企業がIPO(新規株式公開)やM&A(合併・買収)などを果たせば、投資家は大きなリターンが得られる。

 日本では2015年の金融商品取引法(金商法)改正で解禁となり、2017年にサービスの提供が始まった。日本証券業協会によると、2021年における投資型CFの取扱件数は前年比59%増の159件、調達額は同72%増の37億4000万円に達した。投資型CF事業を営むFUNDINNO 執行役員CMO(最高マーケティング責任者)の向井純太郎氏は、「コロナ禍の影響で『巣ごもり投資』が増えたことも成長を後押ししている」と説明する。

株式投資型CFに関する取扱件数・調達額の推移と規制緩和の概要
株式投資型CFに関する取扱件数・調達額の推移と規制緩和の概要
(出所:金融庁、日本証券業協会、イークラウドの資料を基に日経FinTech作成)
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「利用企業の幅が広がる」と期待

 だが、8000億円規模と言われるベンチャー投資の中で投資型CFの占める割合はまだ小さい。歴史が浅いだけでなく、ハイリスク・ハイリターン型の投資手法のため、規制が厳しいことが要因だ。

 その代表例が「1億円の壁」と呼ばれるもの。これまで投資型CFを実施する企業は、有価証券の発行総額が「過去1年間で通算1億円未満」に制限されていた。企業が直近にVC(ベンチャーキャピタル)から7000万円を調達していた場合、投資型CFでは3000万円未満しか調達できなかった。