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 回路保護部品を手掛ける米Littelfuse(リテルヒューズ)の日本法人であるLittelfuseジャパン(東京・港)は2022年3月23日、車載ヒューズの一部生産を同社筑波工場(茨城県稲敷市)に移管したと発表した。

 対象製品は、車載用のブレードヒューズと、12V対応のヒューズモジュール。これまではメキシコ工場で生産し、日本に輸出していた。今回は筑波工場に自動検査装置を導入し、メキシコ工場で前工程を終えた部品を、筑波工場で検査・出荷する体制に変えた。日本市場向けに高品質かつ短納期での部品供給が可能になるという。

車載ヒューズの一部生産を日本に移管
車載ヒューズの一部生産を日本に移管
左が車載用のブレードヒューズ、右が12V対応のヒューズモジュール。(出所:リテルヒューズ)
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 車載用のブレードヒューズは、ワイヤハーネスの分岐部分のヒューズボックス内に取り付けて過電流を防ぐ部品。通常、ワイヤハーネスは東南アジアなど、海外で生産することが多いが、今回は「ワイヤハーネスを一部、日本で生産するメーカーに向けて自動検査装置を導入した」(Littelfuseジャパン代表の亥子正高氏)という。

Littelfuseジャパン代表の亥子正高氏
Littelfuseジャパン代表の亥子正高氏
(出所:リテルヒューズ)
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 ワイヤハーネスは車種ごとに仕様が複雑で、手作業での組み立てが必要なことから、人件費の安い国や地域で生産することが多い。最近ではロシアによるウクライナ侵攻によって、ウクライナ製ワイヤハーネスの供給が停止し、欧州での自動車生産に影響が出た。東南アジアでも新型コロナウイルス感染症の影響によって供給が止まった経緯があり、ワイヤハーネスの生産を一部日本に移管する動きもあるようだ。

 亥子氏は「現時点では、我々の顧客からそのような動きがあるとは聞いていない」と話す。あくまで筑波工場の自動化ライン技術を活用した生産効率の向上が狙いだと説明する。ただ、新型コロナやウクライナ危機など、部品の供給リスクが高まる中、日本国内での生産体制の強化は注目されそうだ。