花王が、健康な生活のために一人ひとりへ最適なソリューションの提案を目指す「プレシジョン・ライフケア」の取り組みを加速させている。その一環として、Preferred Networks(PFN、東京・千代田)と共同で一部の情報を入力するだけで1600以上の健康やライフスタイルに関する項目を推定できる「仮想人体生成モデル」のプロトタイプを開発した。外部企業に仮想人体生成モデルを提供し、個別化したヘルスケアサービスや製品の開発を支援する仕組みに育てる。
花王はプレシジョン・ライフケアを推進するため、皮脂に含まれるRNAを解析するなどモニタリング技術を複数開発してきた。同社は今回開発した仮想人体生成モデルを、それらのモニタリング技術と共にプレシジョン・ライフケアを構成するコア技術と位置付けている。仮想人体生成モデルとプレシジョン・ライフケア事業構想に関する2022年2月の説明会に登壇した花王の長谷部佳宏社長は「プレシジョン・ライフケアの取り組みは、花王が変革するきっかけになると考えている」と語った。
仮想人体生成モデルは、一部のデータから健康などに関連する項目を推定するもので、モデルに備える項目が入力値にも出力値にもなる。現在はプロトタイプの段階で、2022年夏頃に1600以上の項目を推定できるようにする予定だ。
項目には、健康診断などの測定値に加えて、問診で把握する心身の状態なども含まれる。例えば体格や体組成、血液検査の値、運動機能、認知機能、ストレス度合い、幸福感、性格特性などといったものだ。