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 電気自動車(EV)向けリチウムイオン電池開発で中韓メーカーが攻勢をかける一方、日本勢の存在感が薄い。トヨタ自動車とパナソニックの電池合弁会社プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)社長の好田博昭氏に、巻き返しの戦略を聞いた。

プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)社長の好田博昭氏
プライムプラネットエナジー&ソリューションズ(PPES)社長の好田博昭氏
(撮影:宮原一郎)
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中国・寧徳時代新能源科技(CATL)や中国・比亜迪(BYD)、韓国LG Energy SolutionなどがEV電池市場を席巻します。中国勢や韓国勢は、政府や自治体から多額の補助金や優遇措置を受けることで、コスト競争力を高めているといわれています。

 競合他社がどんな補助を受けているのか全て調べました。当社は中国・大連市に工場が2棟あり、2022年2月から3棟目を建設し始めています。工場建設に際しては、大連市長に「CATLとBYDに負けない中国ナンバーワンの工場を造りたい」と直接話し、詳細は明かせませんが競合他社と同等水準の“満額回答”をもらっています。

 土地の賃貸料をものすごく安くしていただき、補助金や税制優遇なども受けられました。あとは当社が生産性を大きく高めれば、競合と十分に勝負できると考えています。

 例えば徳島県でパナソニック工場の一部を借りてハイブリッド車(HEV)向けリチウムイオン電池ラインを順次立ち上げており、従来に比べて開発工数を4分の1に、さらに設備投資を4割減らしました。生産性を大きく高められています。

 従来36工程あったところ、電池の設計変更や良品条件を決めたことで検査を減らし、18工程まで減らしました。ラインの長さは半分くらいになっています。