「世の中には光ファイバーを配線できない建物も多く存在している。では、より多くの人に快適なインターネットサービスを届けるにはどうすればよいのか。答えの1つがローカル5G(第5世代移動通信システム)だ」。
ソニーグループ子会社のソニーワイヤレスコミュニケーションズが2022年3月25日に開催した記者説明会。同社の永井直紀執行役員は、2022年4月1日に開始する新たな無線通信サービスについてこう語った。
そのサービスとは、企業独自の5G通信網を構築できるローカル5Gを家庭向けに提供するインターネット接続サービス「NURO Wireless 5G」である。同社がローカル5Gの無線局免許を取得し、集合住宅の屋上や外壁、近くの電柱などに基地局を設置。家庭に貸し出すホームルーターを介して高速なインターネット接続サービスを提供する。
固定インターネット接続サービスでは光回線を住戸まで配線する方式が主流だ。だが古いマンションやアパートなどでは建物の構造上、光回線を配線できないケースが少なくない。また光回線対応をうたう集合住宅であっても、共用部から各住戸への分配にLANケーブルや電話線(VDSL方式)を使っているために通信速度が遅い場合もある。
一方、NURO Wireless 5Gでは、ローカル5Gの基地局が住戸近くにあれば通信量の制限なく5G通信が可能になる。一般に数万円かかる光回線の開通工事が不要で、エリア化されていれば手軽に使い始められる点も売りだ。
加えて「光ファイバーを使うインターネット接続サービスに遜色ない」(永井執行役員)通信速度を実現する工夫も施した。具体的には、基地局とホームルーターとの間をローカル5Gと「IEEE802.11ax」方式の無線LANとで接続し、各回線を束ねてデータをやり取りする。これにより基地局からホームルーターへの下り速度が最大毎秒4.1ギガビット、上り速度は最大毎秒2.6ギガビットに達するという。
利用料金も光回線を使う固定インターネット接続サービスと同水準とした。契約事務手数料が3300円(税込み、以下同)、月額通信料金はホームルーターのレンタル料込みで4950円である。