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 現在のシステムは、短期間でリリースを繰り返すことが求められる。システムの改善を繰り返すことで顧客の満足度が向上し、企業の競争力を高められるからだ。

 システム開発にかかる時間の中で、ソフトウエアテストは大きな割合を占める。リリースサイクルを短縮しようとすれば、テスト工程の圧縮は欠かせない。一方で、システムの品質を担保するテストをおろそかにすれば、バグの発生やセキュリティーの低下といった問題が起こる可能性がある。

 開発現場によっては、画面定義書を見ながらテストケースを作成し、キー入力と目視でチェックするといった作業を繰り返すこともある。複雑なシステムを改修する際は、変更した箇所の影響を確認するリグレッションテストを人手で行うケースも多い。テストの多くは、人の労働力に頼る労働集約型になりがちだ。

 テスト工程を自動化・効率化し、労働集約型のテストから脱却する――。こうした課題に取り組んでいるのがSBI生命保険だ。同社は、AI(人工知能)を使ってテスト工数を削減するPoC(概念実証)をベンチャー企業のアミフィアブルと共同で2021年11月から実施している。現在はPoCの結果をリポートにまとめている段階で、近く本番環境にも投入する予定だ。

フォーマット統一の副次効果も

 SBI生命保険がPoCで使ったのが、アミフィアブルが提供するAIテストツール「MLET.Ⅱ(エムレット ドットツー)」である。画面定義書やテスト対象画面をAIで解析し、テストデータやテストケース、ユーザーインターフェース(UI)の自動テストツール「Selenium(セレニウム)」のテストスクリプトなどを生成する。

 MLET.Ⅱは、既存の画面定義書を同ツールの専用フォーマットに変換する機能を備える。アミフィアブルが独自に開発したAIによって、定義書の様々な表記のゆれを統一できるのが特徴だ。例えば、「2=平成」と「2:平成」といった作成者による表現の違いなどを、クラスタリングアルゴリズムを使って統一する。

画面定義書の例
画面定義書の例
(出所:アミフィアブル)
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