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 西武鉄道は新交通システムである山口線「レオライナー」の車両に環境発電無線によるビーコン送信機を取り付け、旅客への情報サービス強化に利用していると明らかにした。光発電パネルで照明の光を受けて発電し、微弱な電波を送信するだけのエネルギーを確保しており、外部電源との接続も、1次電池交換の搭載も不要。設置するだけで簡単に動作させられる長所を評価して採用した。

 2021年5月に「西武園ゆうえんち」をリニューアルするのに際して、同ゆうえんちや「ベルーナドーム」(西武ドーム、21年当時は「メットライフドーム」)周辺の旅客輸送を担う山口線の運行情報を、駅のデジタルサイネージやスマートフォンでより詳細に提供する目的でビーコン送信機を導入した(図1)。

 山口線を走る車両は特別なラッピングを施しているなど、遊園地や球場という非日常の空間への入り口としてアトラクションに準じた意味がある。電車好きなどにとっては、次に来る車両がどのラッピングかも興味の対象だ。この情報の案内システムを、費用のかからない方法で実現した(図2)。

図1 スマートフォンによる山口線運行情報サービス
図1 スマートフォンによる山口線運行情報サービス
スマートフォンの西武線アプリによる情報サービス。どの色の車両がどこを走っているかが分かる。(出所:「西武線アプリ」の画面を日経クロステックがキャプチャー)
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図2 西武鉄道山口線で運行している3本の電車
図2 西武鉄道山口線で運行している3本の電車
上から「SDGs×Lions GREEN UP! プロジェクトトレイン」(8511編成)、「西武園ゆうえんちラッピング電車」(8521編成)、通常色(8501編成)。(出所:西武鉄道)
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光発電パネルでビーコン送信

 西武鉄道山口線は「多摩湖(21年3月に西武遊園地駅から改称)」「西武園ゆうえんち(同月に遊園地西駅から改称)」「西武球場前」の3駅からなる全長2.8kmの新交通システム。途中の信号場(すれ違い設備)1カ所を除いて単線であり、繁忙時でも同時に運行する車両は3編成と、シンプルな形態で運行している。1985年に全面改修する前は遊園地の遊戯施設の1つとして小型の蒸気機関車や蓄電池機関車が走る軽便鉄道で、「おとぎ電車」と呼ばれていた。

 導入したビーコン送信機は、数cm角の光発電パネルとBLE(Bluetooth Low Energy)通信モジュールで構成したもの。車両の運転台の上部にある「行先表示器」に取り付けた。10m程度の距離まで電波を飛ばす能力があり、この電波をホームにある受信機で受け取り、車両を検知する。送信機は、3編成ある車両の識別情報も送信している(図3)。

図3 BLEビーコン送信機
図3 BLEビーコン送信機
数cm角の光発電パネルとBLE(Bluetooth Low Energy)通信モジュールで構成。(出所:西武鉄道、遠近法のパースを補正)
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