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NOXとPMのバランスを詰め切れたのか

 以上を踏まえると、このディーゼルエンジンには「認証上の問題はないし、不正も認められない。それでも、燃費の悪化と摩耗による修理代がかかったことから顧客のクレームにつながった案件」(専門家)という線が見えてくる。

 今振り返れば、トヨタがオーストラリア市場向けディーゼルエンジンに尿素SCRを採用していれば、こうした訴訟には発展しなかったといえる。だが、尿素SCRを使わないという選択をした以上、NOXもPMもできる限り抑えつつ、トレードオフ関係にある両者の最適なバランスを見つけ出さなければならなかった。果たしてトヨタは、開発設計段階でこのバランスをどこまで追究できたのか。「少なくとも、クレームが来ない水準まで詰め切ったとは言えないのではないか」(専門家)。

 「今後、トヨタは技術資料を集め、場合によっては顧客の車両を調べるなどして、技術的な落ち度がないことを証明する資料の作成に動くだろう」(専門家)。トヨタが上訴した場合に、その主張を裁判所に認めさせれば、賠償金額は減額される可能性がある。それができなければ、トヨタは相応の支払いを強いられる恐れがある。