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 大阪大学発スタートアップのPaMeLa(パメラ、大阪府吹田市)が患者の「痛み」を見える化する技術の確立を急いでいる。AI(人工知能)を活用して脳波のパターンから痛みのレベルを自動で算出するというシステムで、患者の主観に頼っている痛みの程度を客観的に評価できるようになる可能性がある。まず手術後の痛みをモニタリングする医療機器として、2023年中の製造販売承認の取得を目指す考えだ。

PaMeLaは脳波から痛みを見える化する技術の開発に取り組む
PaMeLaは脳波から痛みを見える化する技術の開発に取り組む
(出所:PaMeLa、大阪大学、福井大学)
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 PaMeLaは大阪大学大学院生命機能研究科の中江文特任教授(PaMeLa取締役CSO)の研究成果を社会実装するために2016年に設立されたスタートアップ。中江氏は麻酔科医として、痛みのメカニズムの研究に取り組んできた。その中で注目したのが、痛みの客観的な評価の必要性だ。中江氏は「現状では痛みは基本的に自己申告で訴えなければ放置される。特に日本人は遠慮して我慢する人が多く、本来は対応が必要な人を見逃す危険がある。痛みの客観的な指標を確立することで、こうした問題を解決したい」と語る。

 PaMeLaが開発を進める「痛みモニタリングシステム(Pain Monitoring System、PMS)」は、マーカーとして脳波を用いるのが特徴だ。PMSの利用者は8つの電極を持つウエアラブル脳波計を額に装着する。出力される脳波データをクラウド上で分析し、脳波計とは独立したモニターに、独自開発した100段階の痛み指標「Pain Score」としてリアルタイムで表示する。

モニターに100段階のPain Scoreが表示される
モニターに100段階のPain Scoreが表示される
(出所:PaMeLa、大阪大学、福井大学)
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 PaMeLaはまず手術後の痛みをモニタリングする医療機器としてPMSを薬事申請する計画だ。入院している患者のベッドサイドで使う想定で、患者が自ら痛みを訴えなくても、医師や看護師がモニターに映し出されるPain Scoreを参考に「手術部位が痛むのではないですか?」と声を掛けられるようにする。少数の患者を対象に有効性を検討する探索的臨床試験は2021年末に既に終了しており、今後はより多くの患者を対象にした検証的臨床試験を進め、2023年中の製造販売承認の取得を目指す。