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 同プロジェクトの説明会資料によれば、路側には、カメラに加えて、「処理装置」や「I2V制御装置」と呼ぶ装置を設置している。処理装置を使って、車両や歩行者といった物体を判定し、位置や速度のベクトルを導く。I2V制御装置では、それらの情報と自動運転車から取得した位置と経路の情報に基づき右折における発進の可否を判断するとともに、信号制御機からの灯色情報に基づき配信する信号情報を生成しているもようだ。I2V制御装置は、自動運転車に発進の可否と信号情報を送る。I2V制御装置と自動運転車の情報のやりとりは5Gを介して実現している。

 もっとも、I2V制御装置と自動運転車の通信では、ティアフォーによれば、通信事業者であるKDDIが基地局のそばに設けたMEC(Multi-Access Edge Computing)サーバーを利用している。MECサーバーを使うと、インターネットを介さずにローカルな通信網だけで完結できることから、通信の遅延を少なく抑えられるためだ。

 ちなみに、駅前の地下ロータリーでは、MECサーバーを介さずに、エッジコンピューターと自動運転車両を単純に5Gで接続している。この方式は、インターネット経由になってしまう可能性があるが、今回の実証実験ではいろんな方式を試すためにそうしたという。MECサーバーを介さない場合、利用する側からはインターネット上のどの経路を通っているかは分からない。そうした方式も試すことで、遅延がどの程度になるかを検証している。

 ティアフォー取締役COO(最高執行責任者)の田中大輔氏は、インフラ協調に5Gを使う意義について、次のように説明する。「分かりやすいのは、大容量、低遅延ということ。低遅延という側面から言うと、車両の速度が上がっても通信に(あまり)時間がかからないので、ある程度はリアルタイムに(車両を)止めることが可能になる。要するに、車速を上げられる。第4世代移動通信システム(4G)/LTEでは、恐らく30~40km/hが現実的な線。5Gになると、たぶん50~60km/hまでは論理的にはいけると思う」と語る。

 そして、それよりも意義があると言うのが、同じ地域で接続できる自動運転車の台数が増えることだ。「4G/LTEでは同じ地域に5台あると、帯域がいっぱいになってつながりにくくなる。(移動サービスの自動運転車を)地域にまとまって実装しようと思うと、4G/LTEはなかなか厳しい。5Gなら10台や20台は問題なく投入できる。100台くらいはいけると思う」と打ち明ける。