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 「日本はデジタル人材育成が非常に遅れている」。アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の長崎忠雄社長は危機感をあらわにする。2022年4月11日に同社が発表した調査リポートは、「日本でデジタルスキルトレーニングを必要とする労働者は2023年に日本の労働者全体の39%に相当する2630万人になる」と予測する。

アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の長崎忠雄社長
アマゾン ウェブ サービス ジャパン(AWSジャパン)の長崎忠雄社長
(写真:村田和聡)
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 日本で従業員にデジタルスキルトレーニングが必要だと考えている組織の割合は98%を占めたが、実際に明確な戦略目標やカリキュラムを立て、必要なリソースを確保するなどして実施している組織は全体の18%にすぎない。日本、オーストラリア、インド、ニュージーランド、インドネシア、シンガポール、韓国の7カ国でみると実際にトレーニングを実施している組織の割合は平均29%であり、日本の18%は最も低い。

デジタルトレーニングのニーズと実際の実施状況
デジタルトレーニングのニーズと実際の実施状況
(出所:アマゾン ウェブ サービス ジャパン)
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 なぜ日本でデジタル人材育成が遅れているのか。理由として長崎社長は経営者の意識を挙げる。

 「本来、経営戦略の1丁目1番地がデジタルであり、経営戦略とデジタル戦略はセットで考えるべきだ。しかし日本ではITはIT部門が考え実施するものという意識が強く、ビジネスの成長にどうデジタルテクノロジーを結びつけるかが描けていない」と長崎社長は指摘する。

 「クラウドの登場によって、誰でもITを使ってやりたいことをすぐに実行できるようになった。オンプレミスの時代のIT部門は収益を生まないコストセンターと見なされがちだったが、クラウドを活用することで収益を生むプロフィットセンターへと変わり、イノベーションを加速できる」(長崎社長)。しかし失敗を許容しない文化が根強く残るために、これまで誰もやったことのないことにリスクをとって挑戦し、うまくいかなければ修正して新たな事業や仕事の仕方を生み出す「パスファインダー(道を切り開く人)」が育ちにくいという。

 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)により、日本企業でもデジタル変革(DX)の機運が高まったことで「経営者がデジタル人材育成にむしろ前のめりになっていると感じている」(長崎社長)。しかし「これまでデジタル人材育成というとIT部門や人事部門に任せてきたので、経営課題として具体的にどう取り組んだらいいか分からないという声を多く聞くようになった」(同)と話す。