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 NTTデータが新入社員などの若手を対象にした育成改革に挑んでいる。目指すは、決まった答えのない領域で柔軟にアイデアを提案し実装できる人材の育成だ。そのために新入社員だけでチームを編成し、自らスキルアップの計画を立てさせるといった試みを続けている。最初に対象とした2020年度の新入社員での成果を受けて、2022年度も取り組みを継続・拡大する方針だ。

 同社は従来、新入社員に2年間のOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)期間を設け、先輩社員がトレーナーとして指導する形でOJTを進めていた。新しいスタイルの育成を始めた2020年度に対象としたのは、決済インフラ「CAFIS(キャフィス)」のデジタル事業「Digital CAFIS」などを手掛けるITサービス・ペイメント事業本部カード&ペイメント事業部の26人だ。この中の20人がデジタルペイメント室の新入社員で、「アジャイル特区」として育成する。

 アジャイル特区では、トレーナー制度を使わず、5~6人ほどの新入社員から成るチームを4つ編成。各チームに対して先輩社員がサポーターとして、新入社員の疑問や課題解決のサポートに入る形に育成体制を変えた。技術力習得の勉強会なども定期的に開催している。内容としてAmazon Web Services(AWS)の基礎やGitの基礎などを扱う。

 同部署で新しい育成スタイルを取り入れた背景には、顧客ニーズの変化がある。NTTデータの矢野忠則ITサービス・ペイメント事業本部企画部人事育成担当部長は「(決まった答えのない領域での)新しい提案のニーズが高まりつつある」と話す。デジタル技術の活用に積極的なユーザー企業は、柔軟にアイデアを提案し実装できる人材を求めているという。

 しかし従来は先輩社員が決められた仕事を少しずつ切り分けて新入社員に教えていく形式だったため、「受け身姿勢の人材が育つ傾向があった」(矢野部長)。同社が長年培ってきたノウハウを伝える仕組みとしては効果を発揮するが、「正解」があるため、新たな発想を生み出す人材の育成には不向きだった。そこで新しい育成スタイルを導入した。

成長の道筋は新入社員が自身で決める

 「まずは自分で試すことを意識するようになった」――。2020年度に入社した、ITサービス・ペイメント事業本部カード&ペイメント事業部デジタルペイメント開発室の山岸香理氏は、自身の変化についてこう語った。

 NTTデータの新しい育成スタイルでは、3カ月ごとにチームと個人それぞれでOKR(Objectives and Key Results)を設定する。OKRとは比較的短期間・少人数の単位で目標を定めて全体で共有しつつ成果を測る手法で、米Google(グーグル)などが採用していることで知られる。