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 高卒の求人紹介サイト「ジョブドラフト」を運営するジンジブ(大阪市)は2022年4月、若者向けのデジタル人材育成事業を開始した。就職予定の高校生や高卒社会人を対象に、デジタル技術の知識や活用法の研修プログラムを提供し、修了者には就職・転職を支援する。

 日本ではデジタルトランスフォーメーション(DX)を担える人材がIT業界に偏在しており、一般企業の約9割が人材不足を感じている。非・大卒者を潜在的なDX人材として開拓するジンジブの取り組みは、こうした状況に一石を投じそうだ。

 ジンジブの研修プログラムは2段階で構成している。まず社会人として必要となる基本的なマナーやビジネスマインドを指導し、そのうえでデジタル分野の講習を受けてもらう仕組みだ。講習は「デジタルマーケティング」と「サイバーセキュリティー」の2種類あり、受講者はいずれか1つを選んで基礎から応用まで体系的に学んでいく。企業のニーズが強い技術分野の知識を身に付けて正規雇用を目指す。

 デジタルマーケティング講習についてはジンジブ傘下の研修会社DMU(大阪市)、サイバーセキュリティー講習についてはITセキュリティー企業のストーンビートセキュリティ(東京・千代田)がそれぞれ手掛ける。ジンジブは近く受講者の募集を始める予定で、受講料は基本無料とする方針だ。収益は、育成した人材を採用した企業からの紹介料で上げる。

 高卒採用している企業などにも同様の研修プログラムを別途提供する。デジタル化への意欲が高い若手社員の定着を図り、離職を食い止めたいといった企業のニーズに応える狙いだ。

 ジンジブが新事業を立ち上げた背景は2つある。1つは慢性的なDX人材の不足だ。情報処理推進機構(IPA)の「IT人材白書2020」によれば、IT人材が不足していると悩む企業の割合は2019年度調査で89%に上った。特に中堅・中小企業などは外部から専門人材を獲得するのに苦戦しがちで、高卒者など若手のDX人材に対する潜在的なニーズは大きいと見られる。

図 9割近いユーザー企業がIT人材の量の不足を感じている
図 9割近いユーザー企業がIT人材の量の不足を感じている

 背景の2つめは、新卒で就職後に早期離職する「第2新卒」が高卒者に多い点だ。厚生労働省が2021年10月に発表した調査によると、就職後3年以内の離職率は36.9%と、大卒の31.2%を上回る。しかも「高卒生は『1年以内の超早期離職』が高い傾向がある」(ジンジブ)という。このような高卒社会人を支援し、再挑戦を促すことにジンジブは商機を見いだした。