全2467文字
PR

 3月22日に初めて発出された「電力需給ひっ迫警報」。第1回の「3月22日の電力需給ひっ迫はなぜ起きたのか、根本原因と対策を探る」では今回の需給ひっ迫の概要を解説しました。第2回では、より詳細にデータを分析し、需給ひっ迫が起きた原因を深堀りします。

関連情報: 3月22日の電力需給ひっ迫はなぜ起きたのか、根本原因と対策を探る

 まず、事実関係を整理しましょう。図1に2022年3月16日の福島県沖地震の影響を受け、3月22日時点に東京エリアで計画外停止および出力低下していた発電所をまとめました。容量の合計は2.48 GW(248万kW)でした。なお、東北エリアは2.25 GW(225万kW)です。

福島県沖地震による計画外停止と出力低下の合計は2.48GW
[画像のクリックで拡大表示]
福島県沖地震による計画外停止と出力低下の合計は2.48GW
図1●3月22日の東京エリアにおける発電所停止情報(出所: 内閣府「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース」第28回準備会合資料)

 次に、地震のあった3月16日から需給ひっ迫が発生した3月22日にかけての連系線の運用容量と潮流実績を図2に示します。連系線とは一般送配電事業者同士をつなぐ送電線のことであり、運用容量は安全性を考慮して、その時に流すことができる最大電力のことです。潮流実績は連系線の利用実績を意味します。

 図2の上段は「東京=中部間」、下段は「東北=東京間」です。下段の灰色の直線を見ると、「東北=東京間」を結ぶ連系線の運用容量は、変電所の一部機能の不具合等により地震発生の翌日に当たる3月17日から2.3 GW(230万kW)分、低下しています。

 なお、3月22日当日の潮流実績を見ると、上段の「東京=中部間」では東京向けに運用容量ギリギリまで電力を輸送していることが分かります。下段の「東北=東京間」でも潮流実績が、東京向けの運用容量を大きく超えていることが見てとれます。送電線利用率で表すと約150%の運用を行っていることになります。こうした運用は、緊急時に短時間であれば許容されるものです。

 地震発生後に停止した発電所の電力分を補うべく、連系線をフルに使って、東北エリアや中部エリアから需給がひっ迫しつつある東京エリアに電力を輸送していたのです。

 図1と図2の情報から、地震の影響で発電所の停止・出力低下と連系線運用容量の低下分の合計は4.8 GW(480万kW)ということが分かりました。

地震後は連系線をフル活用して東京エリアに送電
[画像のクリックで拡大表示]
地震後は連系線をフル活用して東京エリアに送電
図2●3月16日以降の連系線運用容量と潮流実績(出所: 再エネTF第28回準備会合資料)