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 欧州で自動車の環境性能を評価する団体「Green NCAP」は2022年4月21日、欧州で販売台数が多い61車種についてLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)の結果を発表した。LCAは自動車の生産、使用、リサイクルまでのすべてのプロセスにおけるエネルギー消費を推定し、自動車にとっての「ゆりかごから墓場まで」の全寿命における環境への影響を予測するもの。ただし、現在はまだ「包括的な星評価システムを検討する段階ではない」として、車種ごとの優劣の評価はしておらず、基礎的なデータを示すのみとなった。

図1 同じような車重・サイズ・車体形状で、パワートレーンが異なる場合の比較(詳しくは巻末の資料編を参照)
図1 同じような車重・サイズ・車体形状で、パワートレーンが異なる場合の比較(詳しくは巻末の資料編を参照)
(出所:Green NCAP)
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 Green NCAPのLCAは、オーストリアの学術研究機関であるヨアネウム研究所によって開発され、スイスの基礎科学研究機関パウル・シェラー研究所が査読した入手可能なデータと最先端の科学的手法に基づいて推定した。Green NCAPのアプローチは、現実的かつ正確な車両測定値を用いて、使用段階の影響を推定するのが特徴だ。試験で測定したエネルギー消費量の平均値、最高値、最低値をLCAのデータとして入力し、運転スタイルや環境条件がLCAの結果に及ぼす潜在的な影響を明らかにした。また、LCAの計算では、こうした試験データに加えて、各国の電力ミックスの違いや今後20年間のエネルギー供給量の変化も考慮した。

 今回は、61車種についてライフサイクル全体の温暖化ガス排出量と1次エネルギー需要の推定値を算出した(表1表2、巻末の資料編参照)。61車種には、ガソリンエンジン車、ディーゼルエンジン車、ハイブリッド車、電気自動車(EV)など様々なパワートレーンで、様々な大きさとタイプのクルマが含まれている。比較分析するため、車両寿命は16年、総走行距離は24万kmと想定した。

 ライフサイクルの各段階における温暖化ガス排出量と1次エネルギー需要の推定値は、パワートレーンや使用エネルギーの種類によって大きく異なる(図1)。従来のエンジン車は、使用段階での化石燃料の燃焼プロセスがCO2排出量とエネルギー需要の大部分を占めている。一方、EVは生産段階での排出量が多く、使用段階では充電する電力に再生可能エネルギーがどれだけ含まれるかでCO2排出量が異なってくる。