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 「DX(デジタル変革)を通じた企業変革が長期計画の基礎になる。2030年には営業利益で2500億円を目指す」――。三井化学の浦川俊也デジタルトランスフォーメーション推進本部デジタルトランスフォーメーション企画管理部長はこう話す。この目標実現に向けた「基礎」となるのがDXを推進するデジタル人材だ。化学業界では人工知能(AI)を導入して材料開発の効率を上げるマテリアルズ・インフォマティクス(MI)が進み、デジタル人材の需要が急速に高まっている。同社はNEC、アビームコンサルティング(東京・千代田)と手を組み、デジタル人材育成プログラムを作成。2025年度までに165人の専門人材育成を目指す。

 三井化学が2022年4月、DXを加速させるための組織であるデジタルトランスフォーメーション推進本部を新たに設立した。業務改革推進室やデジタルトランスフォーメーション企画管理部など計5部署で構成する。同社のDXを進める本丸となる。この中でデジタルトランスフォーメーション企画管理部がデジタル人材育成について中心的役割を担う。同部は事業に精通した「DXチャンピオン」と呼ばれる各事業部の課長クラスが集まる。各部署から上げられてくる課題を議論し、事業部にデジタル関連企画を提案するほか、デジタル人材育成プログラムの策定にも同部が携わる。

4段階のレベルを設けてデジタル人材を育成
4段階のレベルを設けてデジタル人材を育成
出所:三井化学
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4段階で育成、「レベル0」は1万人が受講済み

 三井化学のデジタル人材育成の特徴は同社が保有する各種データを段階に応じて実際の研修プログラムに用いる点だ。研修プログラムはレベル0から3の4段階に区分されている。レベル0は汎用(はんよう)的に作られており、データ活用やAIについて学ぶ。具体的には「DX・データ活用の目的や世の中の動向、各社のDX事例」「AI、機械学習、深層学習の違い」などだ。データについてはマーケットの調査や統計データ、さらには化学品に関わる危険性や安全性などのデータを用いる。

 2021年7月から提供を始め、2022年4月の段階で国内グループ会社を含めて1万人が受講を終えた。実際に受講した人たちの意見として「データを活用する実感ができた」「少し難しかった」といった意見があったという。今後は海外の従業員にも展開していく予定だ。