ルネサス エレクトロニクスの積極的な取り組みで、日本でも関心が高まっているRISC-Vコア*1。それをチャンスとみた、RISC-VコアプロバイダーのドイツCodasip(コダシップ)は、同社初の日本カントリーマネージャーに明石貴昭氏を任命し、日本市場での顧客開拓を本格化した ニュースリリース 。
*1 関連記事 ルネサスがRISC-V先行宣言、Armマイコンの失敗は繰り返さないRISC-Vはオープンな(すなわち、無償な)プロセッサーの命令セットである。それを実装したRISC-Vコアは英Arm(アーム)のCPU(Central Processing Unit)コア製品(Cortexなど)に比べて、ロイヤルティーやライセンス料が安価なことが、採用する側にとって最大のメリットといえる。市場には、ルネサスが契約した米SiFive(サイファイブ)や台湾Andes Technology(アンデス テクノロジー)をはじめとして、多くのRISC-Vコアのプロバイダーが参入している。この記事で紹介するCodasipはそうしたプロバイダーの1社である。
CodasipはチェコApS Brnoから分離独立する形で2014年にチェコで創業した。18年にドイツのミュンヘンに本社を移したが、R&Dセンターは現在もチェコにある。15年には同社初のRISC-Vコアを発表している。現在Codasipは、複数のRISC-Vコアをそろえる(図1、図2)。パイプラインが3段で32ビット処理の1シリーズと3シリーズ、パイプラインが5段で32、64ビット処理混在の5シリーズ、そしてパイプラインが7段で64ビット処理専用の7シリーズである。大くくりにいうと、1/3/5シリーズはArmのCortex-Mコアと競合し、7シリーズはCortex-Aコアと競合する。7シリーズはMMU(Memory Management Unit)などを含み、Linuxのサポートが可能である。
ArmのCPUコアに比べて安価なことに加えて、RISC-Vコアにはカスタマイズが行えるという利点がある(図3)。Armコアの場合、アーキテクチャーライセンスを取得すれば、マイクロアーキテクチャー(CPUコアの回路設計)はユーザーが決められるものの、命令セットは基本的に変更できなかった。同社は19年にRISC-V対抗策として、「Arm Custom Instructions」という名称で一部のCortex-Mコアに関してユーザーが命令を追加できるようにした。一方、オープンな命令セットであるRISC-Vコアでは、マイクロアーキテクチャーはもちろん、命令の追加などのカスタマイズは自由に行える(図4)。