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 「2社というのは、担当者としてやや寂しい」。2022年3月30日、FinTech関連イベント「FIN/SUM 2022」に登壇した金融庁総合政策局参事官の尾崎有氏は、金融サービス仲介業の登録状況についてこう語った。2021年11月に鳴り物入りで始まった同制度だが、登録事業者はSBIネオモバイル証券と400Fにとどまっていた。

 だが翌3月31日、3社めが正式に名乗りを上げた。SCSKの子会社でBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)サービスを提供するSCSKサービスウェアだ。4月に、金融サービス仲介業としてのサービス提供体制を整えた。

 SCSKサービスウェアが狙うのは、金融機関から受託した事務業務範囲の拡大だ。同社は銀行や証券会社、生命保険会社などの金融機関に対し、データ入力、問い合わせ対応業務といったBPOサービスを提供。金融BPO業務の売上高は2021年3月期に28億円に達している。

 金融サービス仲介業に登録することで、自社の事務センターでもサービス契約の媒介などの資格が必要な業務も受託できるようになる。取締役常務執行役員第一事業本部本部長の成毛朋之氏は、「業態ごとの認可や金融機関への所属が必要なく、1つの登録で銀行、証券、保険の仲介や媒介ができるのはBPOサービスベンダーとして魅力を感じた」と説明する。業務範囲の拡大により、金融BPO事業の売上高を2030年に50億円に引き上げる目標を掲げる。

金融機関への手戻りを解消

 SCSKサービスウェアは金融サービス仲介業者として、(1)預金などの媒介(預金口座開設の媒介など)、(2)有価証券などの仲介(マイナンバーのデータ入力など)、(3)保険の媒介(新規申込の受付業務など)といったサービスの提供を想定している。従来、金融機関への常駐や派遣契約といった形でしか対応できなかった業務の一部を、同社の事務センターでも実施できるようになる点をメリットとして挙げる。

SCSKサービスウェアが金融サービス仲介業者として新たに提供予定のサービス例
SCSKサービスウェアが金融サービス仲介業者として新たに提供予定のサービス例
(出所:SCSKサービスウェアの資料を基に日経FinTech作成)
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