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 半導体の先端技術が紹介される国際学会「2022 IEEE VLSI Symposium on Technology & Circuits」(以下、VLSIシンポ2022)が2022年6月12~17日(米国時間)に開催される ホームページ 。今回は4年ぶりに米国ハワイでリアル開催されるためか(図1)、例年にはない盛り上がりを見せており、注目講演が目白押しである。例えば、米Meta Platforms(メタ プラットフォームズ)がAR(Augmented Reality)向けに開発したSRAMを、米Intel(インテル)が同社の次期先端プロセス「Intel 4」向けに開発したRISC-Vプロセッサーなどを発表する。

図1 リアル開催される米ハワイ州ホノルルのホテル「Hilton Hawaiian Village Waikiki Beach Resort」と「2022 IEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits」のロゴ
図1 リアル開催される米ハワイ州ホノルルのホテル「Hilton Hawaiian Village Waikiki Beach Resort」と「2022 IEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits」のロゴ
このホテルで2022年6月12~17日(現地時間)にリアル開催された後の翌週21日からインターネットでのVOD(Video On Demand)配信が始まる。オンライン聴講者に向けたQ&Aは21~23日に行われる予定。(出所:2022 IEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits)
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 基調講演の講師は大物がそろった。例えば、先端プロセス製造に欠かせないEUV(極端紫外線)露光装置の唯一のメーカーであるオランダASMLから、President and CTOのMartin van den Brink氏が登壇する(図2)。同氏は「Holistic Patterning to Advance Semiconductor Manufacturing for the 2020s and Beyond」(講演番号:Plenary Sessionの1.2)というタイトルで、今後の先端半導体の製造を担うパターニング技術について語る。半導体受託製造(いわゆる、シリコンファウンドリー)で世界最大手の台湾TSMC(台湾積体電路製造)からは、Senior Vice President of Research and Development(R & D)のY.J. Mii氏が登壇し、「Semiconductor Innovations, From Device to System」(講演番号:Plenary Session IIの1.2)というタイトルで講演する。

図2 オランダASMLと台湾TSMC(台湾積体電路製造)からの基調講演者と講演タイトル
図2 オランダASMLと台湾TSMC(台湾積体電路製造)からの基調講演者と講演タイトル
(出所:2022 IEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits)
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 さらにファブレス半導体メーカー最大手の米Qualcomm(クアルコム)からは、SVP& GM, Mobile HandsetのChristopher Patrick氏が基調講演者として登壇する(図3)。同氏は、先端プロセスで製造するマイクロプロセッサーやスマートフォン向けプロセッサーICで導入が進む、複数の小さなダイ(チップレットやタイルと呼ばれる)を1パッケージに収める手法について語る(講演番号:Plenary Sessionの1.1)。この手法はSoP(System on a Package)などと呼ばれ(以前はSiP(System in Package)やMCM(Multi-Chip Module)と呼ばれていた)、1つの大きなダイにすべての回路を集積するSoC(System on a Chip)に代わる手法であり、SoCに比べて製造コストを抑えられるなどの利点がある。同氏はSoPではなくSOMC(System on MultiChip)と呼んでいるようで、講演タイトルは「From System-on-Chip (SOC) to System on Multichip (SOMC) Architectures: Scaling Integrated Systems Beyond the Limitations of Deep-Submicron Single Chip Technologies」となっている。

図3 米Qualcomm(クアルコム)と韓国SK hynix(SKハイニックス)からの基調講演者と講演タイトル
図3 米Qualcomm(クアルコム)と韓国SK hynix(SKハイニックス)からの基調講演者と講演タイトル
(出所:2022 IEEE VLSI Symposium on Technology and Circuits)
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