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 国内携帯電話大手3社の2022年3月期決算(国際会計基準)が出そろった。KDDI(au)とソフトバンクは前年同期比で増収増益となり、NTTドコモは減収だが増益を確保した。3社とも屋台骨の個人向け携帯電話事業は「官製値下げ」の影響を受けて低調が続く。それを成長分野の非通信事業や法人事業で補う構図が鮮明になった。

国内携帯電話大手3社の2022年3月期連結決算(国際会計基準)
*:NTTドコモは営業収益
企業名売上高(前年同期比増減率)営業利益(前年同期比増減率)
NTTドコモ(単体)4兆7138億800万円(▲0.2%)*9279億4400万円(1.6%)
KDDI(au)5兆4467億800万円(2.5%)1兆605億9200万円(2.2%)
ソフトバンク5兆6906億600万円(9.3%)9857億4600万円(1.5%)

UQモバイルとpovoのシェアが拡大

 KDDIが2022年5月13日に発表した2022年3月期の連結売上高(国際会計基準)は前年同期比2.5%増の5兆4467億800万円、営業利益は同2.2%増の1兆605億9200万円だった。個人向けの「パーソナルセグメント」のうち、稼ぎ頭の「モバイル通信料収入」はおよそ116億円目減りした。

 背景の1つにあるのが、主力の「au」から割安な「UQモバイル」や「povo(ポヴォ)」に切り替えるユーザーの増加だ。KDDIによると、上記3ブランドをシェアで見るともともとauが約9割を占めていたという。

 だがUQモバイルの値下げやpovoの導入を経た2022年3月末時点ではauのシェアが8割に低下し、UQモバイルとpovoの合計シェアが2割に達したという。KDDIはこうした値下げの影響額を期初に前年比マイナス600億~700億円(営業利益ベース)と見積もっていたが、最終的に872億円に拡大した。

 このマイナス影響を金融やコマース、エネルギーなどで構成する「ライフデザイン領域」や、ローミング収入を含む「その他」といった事業で補い、パーソナルセグメント全体で見ると増収増益となった。加えて法人向けの「ビジネスセグメント」も、DX(デジタルトランスフォーメーション)領域やデータセンター運営など「NEXTコア事業」を軸に好調を維持した。