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近い将来、木工製品と電子回路を一体化できる時代が来るかもしれない。お茶の水女子大学と東京工科大学、ヤフー(東京・千代田)、東京大学による研究グループは、レーザー加工機で木材表面を部分的に炭化させ、電気配線やセンサーの一部として使う技術を開発した。
配線となるのはいわゆる炭なので、一般的なプリント配線基板(PCB)に用いる銅配線と比べると、電気抵抗値は大きい*1。そのため、大電流には不向きだが、電流が数mA程度の信号であれば扱えるという。研究チームはこれまでに、炭配線とマイコン基板を組み合わせて、静電容量式のタッチセンサー(図1)や、扉の開閉を検知できるスイッチ回路(図2)などを試作した。
図1 室内灯の明るさを調整する調光ボード
黒色の矢印(三角形)部分などが静電容量式のタッチセンサーになっている。指の接触を検知すると、マイコンを経由して室内灯を制御する仕組み。炭配線とマイコン基板は金属製のねじで接続している。(出所:日経クロステック)
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図2 木製の収納ボックス
扉の開閉を検知する機能を内蔵している。金属製のマグネットキャッチやヒンジが炭配線と接触して導通するように設計されている。マグネットキャッチが切り離されると回路が切断され、扉が開いたと分かる。(出所:日経クロステック)
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*1 表面抵抗率25~76Ω/sq。加工条件や木材の種類によって変わる。