NTTとNTTデータが海外事業の統合に踏み切る。両社が2022年10月に共同で設立する海外事業会社は、NTTデータが55%、NTTが45%を出資する。海外に関しては、子会社のNTTデータが主導する形になる。NTTが「認めた」NTTデータの海外事業の実力はどの程度なのか。
NTTデータは持ち株会社体制に移行
両社は海外事業の統合を大きく2段階で進める。まず2022年10月に共同出資で海外事業会社を設立する。両社は「公正な交渉プロセス」(NTTデータ)を経て、海外事業会社の株式保有比率についてNTTデータが51%、NTTが49%で合意。さらにNTTデータが海外事業会社の一部株式をNTTから1120億円で追加取得し、出資比率は最終的にNTTデータが55%、NTTが45%になる。NTTの海外戦略の統括会社である英NTTリミテッドは、海外事業会社の傘下に配置する。ここまでがステップ1だ。
次にステップ2として、2023年7月にNTTデータが持ち株会社体制に移行し、国内事業を切り出す。持ち株会社の傘下に、国内事業会社と海外事業会社をぶら下げる形になる。
NTTは6000万株、または1000億円を上限に、NTTデータの株式を市場から買い付け、出資比率を56~57%に引き上げる計画も明らかにした。両社の連携強化が狙いとしている。ただし「NTTデータの上場を続けたい」(NTTの澤田純社長)とし、現時点でNTTデータの完全子会社化には否定的な見方を示した。
これまで澤田社長がけん引してきたNTTグループの大型再編は、4兆円超を投じたNTTドコモの完全子会社化に象徴されるように、NTT主導の組織体制に改める側面が強かった。一方、今回の海外事業統合は、海外事業会社の株式の過半をNTTデータが持つ形になり、これまでの再編とは趣が異なる。
澤田社長は「NTTデータが強くなれば、トータルとしてNTTグループにとっても当然いい。どちらに寄せるかというのは方法論で、どちらでもいいという風に考えていた」と話す。
NTTとNTTデータは海外事業統合に関して、2021年4月ごろから検討を始め、同年9月に「正式にNTTデータからNTTに協議を申し入れた」(NTTデータの本間洋社長)。澤田社長は「こういう案件は本間社長が自発的に動かないとできない案件なので、むしろ(提案を)いただいて良かったという風に思っている」とNTTデータの提案をきっかけに協議が進んだことを強調した。