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 レジ機能付きショッピングカートをいち早く採用するなどリテールテックを先導するトライアルカンパニーが最新の店舗「トライアルGO脇田店」を2022年4月20日開店し、5月17日にメディア向け取材会を開いた。同店を実験店と位置づけ、店内に取り付けたカメラやAI(人工知能)を駆使した最先端の技術を盛り込んでいる。売り場の商品在庫をつねに把握しながら流通を効率化するなど、小売店舗に残り続けるムリ・ムダ・ムラの削減に取り組む。

 セルフレジ機能付きタブレットを搭載した「スマートショッピングカート」や天井にずらりと取り付けたカメラはもはやおなじみの光景となったトライアルの店舗。福岡県宮若市に開店したトライアルGO脇田店はこうした機器の最新版に加え、さらに新しい技術を先行導入して効果検証や改良に貢献する役割を担う。

カメラと電子棚札が連動して自動で値下げ

 まずトライアルが「世界初」をうたうのが、カメラと電子棚札が連動した自動値下げだ。総菜売り場に導入した。天井のカメラが捉える商品の残数の情報を基に、AIでどの時間帯にどれぐらい値下げすれば売り上げを伸ばしながら廃棄ロスを減らせるかを算出。電子棚札の価格表示を自動で変更する。

商品の残数を基に電子棚札の価格を自動変更する
商品の残数を基に電子棚札の価格を自動変更する
(撮影:日経クロステック)
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 売り場の品ぞろえを確保しつつ廃棄ロスを出さない値引き額を付けるには本来、高度な経験やノウハウを持った従業員が必要だ。トライアルに先立ち、イオンリテールもAIを使った値引き支援システム「AIカカク」を日本IBMと開発。2020年11月の先行導入から2021年7月までに一気に約350店の総合スーパー(GMS)ほぼ全店で導入済みだ。

 イオンリテールのシステムは従業員が商品の残数を手入力し、AIカカクが発行する割引シールを商品に貼る必要があった。トライアルはカメラと電子棚札の連係による自動値引きで、人手の作業によるムダをも減らそうとしている。

 トライアルはカメラが捉える商品残数の情報を仕入れにも活用している。トライアルGO脇田店は、近隣のスーパーセンタートライアル宮田店(福岡県宮若市)やスーパーセンタートライアル飯塚店(同飯塚市)を「母店」として適宜商品の補給を受ける「子店」の位置付けだ。需要予測による発注にリアルタイムの在庫状況を加味することで、脇田店は約300坪とトライアルでは比較的小型ながら1200坪の店舗と同等の品ぞろえを目指している。

 新店の出店で検討する物件では、必ずしも十分な広さが確保できるとは限らない。母店から適切な商品供給が受けられれば、総菜の加工スペースの確保が難しい物件でも出店が可能になり、より広い売り場面積を確保できる。トライアルカンパニーの野田大輔マーケティング部長は「店舗を出店する際のハードルが下がる」と意義を語る。