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 日程調整やWeb会議室の設定をオンラインで効率化する日程調整サービスが、ここ1~2年ほどの間に続々と立ち上がっている。なぜだろうか。その理由について、「TimeRex(タイムレックス)」を手掛けるミクステンドの北野智大社長は「2020年1月の提供開始直後に新型コロナウイルスが流行し、Web会議が浸透したことが普及の大きな加速要因になった」と説明する。

 特に企業の営業担当者は、「訪問先への移動時間がなくなる一方で、1日当たりの商談件数が増加。結果として日程調整の件数が増えて、作業負担も大きくなり、日程調整の自動化ニーズが高まった」(ミクステンドの北野社長)という。

 前回紹介したように、日程調整サービスはここ1~2年ほどの間に提供を始めたものが少なくない。TimeRexは2020年1月、 RECEPTIONIST(レセプショニスト)の「調整アポ」は2020年2月、E4(イーフォー)の「eeasy(イージー)」は2020年5月、ジクーの「Jicoo(ジクー)」は2021年4月といった具合だ。

 今回は、日程調整サービスが急速に普及する背景や活用の広がり、活用時のポイントについて深掘りしていく。

前回記事 コロナ禍下で伸びたのはWeb会議だけじゃない、日程調整サービスの普及が進む

Web会議の増加でURLの共有が手間、人事や営業部門で導入が進む

 面談や打ち合わせをするまでの工数についてはコロナ禍下、Web会議で増しているようだ。ミクステンドの北野社長によると、TimeRexで日程を調整したミーティングのうち60%以上がWeb会議だという。「Web会議の場合、日程を調整した後にWeb会議室のURLを設定して共有する手間がかかる。TimeRexを使うことで日程調整と同時に、ミーティングをする相手とWeb会議室のURLも共有できる」(北野社長)。ミクステンドはサービスを使うことで日程調整にかかる時間を95%以上、大幅に省けるとしている。

従来の日程調整で必要な手順と、日程調整サービス「TimeRex」を使った手順を比べた図。手順が大幅に省けることを示している
従来の日程調整で必要な手順と、日程調整サービス「TimeRex」を使った手順を比べた図。手順が大幅に省けることを示している
(出所:ミクステンド)
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 こうした課題を踏まえて、サービス提供ベンダー各社は日程調整サービスの提供に乗り出した。調整アポを手掛けるRECEPTIONISTの白上大典セールスグループマネージャーは「調整アポはコロナ禍下における働き方の変化や、商談のオンライン化が進んだことを受けてリリースした」と明かす。

 ではどんな場面で日程調整ツールが使われることが多いのか。eeasyを提供しているE4で広報を担当する小俣友香理氏は「企業内では業務上、日程調整をする機会が非常に多い部門でeeasyの採用が進んでいる。人事部門や営業部門で導入が圧倒的に多い」と明かす。

 活用の場は多岐にわたるようだ。Jicooを提供しているジクーの鈴木真一郎社長CEO(最高経営責任者)は「副業と本業の予定を含めた日程調整や、時差がある海外拠点などとのWeb会議の日程調整に活用するケースがある。この他、大企業の本社と支社の間でスケジューラーが分断されていて、打ち合わせなどの調整が非効率だという課題を解決するためにJicooが導入されている」と説明する。ミクステンドの北野社長は「大規模な展示会をオンラインで開催する際、出展者と参加者の個別商談のマッチングに採用される機会が増えた」と明かす。