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 「あのパワー半導体、やっぱり製品に使うから返してくれないか」――。ある大学教授は、付き合いのある企業からの申し出に驚いた。もう使わないからといって譲り受けたパワー半導体だった。二つ返事で同意すると、担当者はすぐさま回収していった。背景にあるのは、深刻なパワー半導体不足だ。

 プロセッサーやメモリーなどロジック半導体の不足が叫ばれているが、実はパワー半導体も品不足に陥っている。中でも産業用などBtoB向けのパワー半導体製品が足りないという。その納期は「10カ月から1年」(複数の技術者や研究者)。かつてパワー半導体業界が好景気だったときも、「最長で6カ月ほど」(同)だったことを考えると、この状況がいかに異常か分かる。

 あまりにパワー半導体製品が手に入らないために、調達の現場は争奪戦の様相を見せている。あるパワー半導体メーカーの技術者によると、通常ならSi(シリコン)製の安価なパワー半導体製品を購入するユーザー企業が、納期を優先して高価なSiC(シリコンカーバイド、炭化ケイ素)製のパワー半導体製品を購入する場合が増えたという。

 パワー半導体チップも不足しがちだが、より深刻なのは周辺部材だ。それが原因で納期が延びているという。パワー半導体分野の技術者や研究者の話をまとめると、主に以下の3つの部材が不足している。

パワー半導体に関する世界最大級のイベント「PCIM Europe 2022」の会場入り口付近の様子
パワー半導体に関する世界最大級のイベント「PCIM Europe 2022」の会場入り口付近の様子
2022年5月開催。新型コロナウイルス禍の影響がありながらも、1万1000人以上が訪れた(出所:Mesago Messe Frankfurt)
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