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 「特効薬はない。いろいろな手段を組み合わせて、何とか影響を減らす努力を続けている」。半導体の需給が逼迫する状況について、デンソー経営役員でCTO(最高技術責任者)の加藤良文氏はこう語った。

 同社は2022年6月1日、半導体戦略に関する説明会を開催した。その中で加藤氏は、デンソーが取り組んでいる半導体不足への対応策を明かした。さまざまな施策の根底にあるのは、自動車業界と半導体業界のギャップを埋めることである。

デンソー経営役員でCTOの加藤良文氏(左)
デンソー経営役員でCTOの加藤良文氏(左)
半導体戦略について説明した。(出所:デンソーのオンライン説明会の画面をキャプチャー)
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 自動車業界の常識は、短期発注と長期間使用。できるだけ在庫を抱えないように、3カ月単位という短いスパンで発注を繰り返してきた。それでいて調達する半導体は、信頼性を重視して「同じ製品を10年以上使い続けることもある」(同氏)。製品ごとの生産量は、データセンターやスマートフォン向けの半導体などに比べると少なく、半導体メーカーとしては製造ラインを維持するコストがかさむ。

自動車業界と半導体業界のギャップ
自動車業界と半導体業界のギャップ
前提とする常識が大きく異なるという。(出所:デンソー)
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 発注量の増減が激しい上に、数が出なくて製造コストも高い――。半導体メーカーにとって自動車業界は、“面倒な客”になっていた。その事実が表面化したのが今回の半導体不足で、自動車業界が「買い負けるようになった」(ある自動車メーカーの調達担当者)。発注量を長期確約しつつ早期に製品を切り替えてくれるデータセンター/スマホ業界のほうが付き合いやすい顧客に映ったわけだ。

 こうした状況を是正するため、デンソーは発注期間を見直した。これまで3カ月単位だったが、1年以上の長期発注に改めた。2022年からは2年先の発注量も半導体メーカーに内示するようにした。さらに、10年後の技術動向や数量の見通しも半導体メーカーに伝え始めた。

自動車メーカーの理解得られるか

 デンソーは半導体メーカーとの情報共有を強化しつつ、自動車メーカーとの対話も進める。「半導体は製造に5~6カ月かかるものもあり、需給が急激に変化しても対応するのは難しい。その点を自動車メーカーに理解してもらえるように説明している」(加藤氏)状況だ。

 自動車メーカーとの対話ではこのほか、「標準品の採用や生産設備の切り替えなどを提案している」(同氏)という。デンソーはこれまで、自動車メーカーごとに仕様の異なる半導体を使って車載部品を仕上げてきた。今後は、部品を納入する自動車メーカーが異なっても、同じ半導体を使えるように標準化を加速させていく。生産に関しても、高い維持コストの旧設備を使い続けるのではなく、新しい設備に切り替えることを促す。