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 スポーツ用品を販売するアルペンは全国の店舗で使用する業務システムをローコードツールで内製し、2022年4月に本稼働させた。フルスクラッチで開発すれば数千万円かかるとみられるシステムとほぼ同等の機能を、開発期間2カ月、開発工数5人月という低コスト・短納期で構築できた。

 開発したのは店舗の受注管理システムだ。POS(販売時点情報管理)システムとEC(電子商取引)系の基幹システムとの両方につながる。アルペンは店舗の受注管理システムの開発にサイボウズのローコードツール「kintone(キントーン)」を選んだ。2021年10月に開発をスタートし、2022年2月からの試験運用を経て同年4月に本稼働させた。

旗艦店のオープンに合わせて2つの新サービス

 新システムで実現したのが「自宅配送」のサービスと、「ECサイトで購入した商品の店頭受け取り」の2つのサービスだ。東京都新宿区にある同社の旗艦店「Alpen TOKYO」のオープンに合わせて、2022年4月1日から両サービスを本格展開している。

「Alpen TOKYO」の外観
「Alpen TOKYO」の外観
(出所:アルペン)
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 前者は、店舗で合計5500円(税込み)以上の商品を購入すると自宅に無料で配送してくれるサービスだ。店舗に商品の在庫がない場合や、顧客が自宅への配送を希望した場合に、店舗スタッフが店内接客用のECサイトに注文を登録する。この注文情報が受注管理システムに連係され、それをPOSシステムで呼び出して店舗レジで会計する流れである。代金の支払いが完了すると、受注管理システムがEC系基幹システムに出荷指示データを送信して商品の配送が手配される。

店内接客用のECサイト
店内接客用のECサイト
(出所:アルペン)

 以前のアルペンは、配送の手配にかかるコストなどを理由に店舗から自宅に配送するサービスを提供していなかった。自宅配送を望む顧客には、店舗スタッフがQRコードを渡すなどしてECサイトでの購入を促す方法もあるが、ECサイトでの購入に抵抗を示す顧客がいる恐れもある。これに対し今回の仕組みであれば、従来通りの接客で自宅配送を提案できる。アルペンの執行役員でデジタル本部長兼情報システム部長を務める蒲山雅文氏は「店舗の注文をECサイトのスキームに乗せることで、効率的な(店舗)オペレーションと安価な輸送コストを実現できた」と語る。

受注管理システムによる新サービスの仕組み
受注管理システムによる新サービスの仕組み
(出所:サイボウズ)
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 もう1つの店頭受け取りサービスは、同社がヤフーのECサイト「PayPayモール」で出店している「アルペンPayPayモール店」で始めた。顧客が同店で注文すると、商品情報が受注管理システムに連係されて顧客が選んだ店舗の在庫を確保するというものだ。店舗スタッフは来店した顧客から注文票を受け取り、POSレジで読み取って商品を渡す。現在アルペンは自社のECサイトで店頭受け取りサービスを別の仕組みで提供しているが、将来的には今回の仕組みに統合していくという。

接客で自宅配送サービスを案内している様子
接客で自宅配送サービスを案内している様子
(出所:アルペン)
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