トヨタ自動車は新型電気自動車(EV)「bZ4X」の日本仕様車に、国内自動車メーカーとして初めて、ミリ波レーダーのレドーム(アンテナを覆うカバー)に融雪機能を搭載した(図1)。天候に左右されず、先進運転支援システム(ADAS)を機能させる狙いがある。同レドームは、三恵技研工業(東京・北)が開発した。
同融雪機能は、トヨタがbZ4Xのメーカーオプションとして設けた「寒冷地仕様」に含まれる。価格は2万2000円(消費税込み)。同EVの兄弟車であるSUBARU(スバル)の新型EV「ソルテラ」(日本仕様車)は、同機能を標準装備する。
ミリ波レーダーは他のセンサーに比べ天候の影響を受けにくいが、降雪時にレドーム表面に着雪すると電波が透過しにくくなる。bZ4Xでは、レドーム裏側にFPC(フレキシブル基板)ヒーターを装着して表面を加熱することで、付着した雪を溶かす(図2)。同ヒーターは、シート状の基板に配線した金属線に電流が流れることで発熱する。降雪時の走行中であっても、車両や歩行者の検知機能、先行車への追従機能などが働き続けられるようにする。
ただ、同ヒーター線は金属であるため、ミリ波の進行を遮蔽(しゃへい)する効果がある。ヒーター線が密であるほど、レドーム表面を加熱しやすいが、ミリ波は透過しにくくなる。搭載には、ミリ波の透過性をできるだけ損なわずに融雪効果を高める設計が必要だ。