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データ活用する動機と成功体験が必要

 今後のデータ教育へ、どんな行動が必要か。佐藤カントリーマネージャーは「企業は体系立てた道筋を提供すべきだ」と話す。具体的にはeラーニングやデータ分析に使えるコンテンツを用意し、スキルレベルを設定して全社員がいつでも学べるようにする。修了後にデジタルバッジを付与するといったゲーム感覚を取り入れるなどのやり方を通し、人事体系と合わせてデータ教育を社内に根付かせるのが重要だ。基礎的な教育は外部提供サービスを利用して、社員の習熟度に応じて自社の業界や業務に合わせた内製化へ移行するのがいいのではないかという。

 Tableauの調査で分かった別の結果によると、日本の91%の経営層は社員に基本的なデータスキルを期待しており、グローバルの経営層の82%と比較して高い。期待している以上、データ活用を社業の根幹に置くという一貫した姿勢を持ち、全社員が業務に使える形の教育内容を個々のレベルに合わせて提供すべきだろう。

 一方、社員側の意識として河本教授は「自らデータを生かす動機を持ち、自分でもできるという成功体験を重ねていけば、『データドリブン』な活動が広がる」と強調する。一般事例を学ぶだけではなく、OJT型で自らの業務に即してデータ活用する経験を積むのが有効だ。さらに同じ動機を持ったコミュニティーをつくって互いに質問したり、課題解決に挑戦したりする仕組みを講じるのにも注力する。

 テクノロジーの進展は速い。今まではデータサイエンティストをはじめとする専門家の能力を必要としたデータ活用が、機械学習を自動化するツールやローコード/ノーコードツールといった先進技術の助けで、一般のビジネスパーソンにもできるようになった。技術の恩恵が受けられる時代の到来で「ビジネスパーソンにとって大きなチャンスになる一方、データ活用しなくてもいいという考えの企業は大変なことになる」(河本教授)と警鐘を鳴らす。

経営者と社員に求められる、企業のデータ活用を広げるのに必要な行動
経営者と社員に求められる、企業のデータ活用を広げるのに必要な行動
(専門家の話を基に日経クロステック作成)
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 Tableauの調査は「 Building Data Literacy: The Key To Better Decisions, Greater Productivity, And Data-Driven Organizations(データリテラシーの形成:よりよい意思決定、生産性の向上、データドリブンな組織へのカギ)」で、Tableauが米Forrester Consulting(フォレスター・コンサルティング)に委託して2021年10~11月に行ったオンライン調査を基にしている。対象国は10カ国で、オーストラリア、ブラジル、カナダ、フランス、ドイツ、日本、メキシコ、シンガポール、英国、米国の企業の管理職と社員2000人以上に実施した。