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 「駅ビルやホテルなど1棟の物件を基に小口資金を募るなど、ビジネスパーソンでも投資しやすい魅力的な金融商品を提供し、貯蓄から投資への流れを促したい」。みずほ信託銀行信託プロダクツ・開発本部信託フロンティア開発部調査役の緒形千恵氏は、デジタル証券事業に参入する狙いをこう語る。

 みずほ信託銀行は2022年4月25日、野村ホールディングスの子会社であるBOOSTRYが提供するセキュリティートークン(ST)発行基盤「ibet for Fin」のコンソーシアムに参加すると発表した。同基盤を利用して、2022年内に不動産のSTを発行する計画だ。不動産における複雑な契約締結の手順を自動化できるほか、対面や紙でのやり取りが不要なため担当者の手間とコストを省けるといったメリットを見込む。

みずほ信託銀行のデジタル証券発行の仕組み
みずほ信託銀行のデジタル証券発行の仕組み
(出所:みずほ信託銀行の資料を基に日経FinTech作成)
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不動産投資の間口を広げる

 デジタル証券事業への参入は、投資商品の間口を広げる狙いもある。不動産の小口売買については、不動産投資信託(REIT)による流通市場が存在しているが、複数の物件をまとめるなど一定規模の資産が必要になる。STであれば、1棟で数十億円以下の物件でも流動化できるという。緒形氏は「地元の発電設備が新しくできるので応援したい、近くの美術館に投資したい、といった具合に個人に身近なニーズに応える商品を提供できる」と利点を挙げる。

 2021年夏前から約半年をかけて、ST発行基盤の選定を進めた。三菱UFJ信託銀行が提供する「Progmat」、Securitize JapanのST発行基盤なども比較し、オープンな基盤であることからibet for Finを選んだ。ibet for Finは機能群をオープンソースとしており、第三者がソフトウエアを改良して再配布できる。このため「技術革新が起きやすい点を評価した」と緒形氏は語る。