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 花王は、化粧品や美容の総合情報サイト「@cosme(アットコスメ)」を運営するアイスタイルと共同で、皮脂から採取したRNA(リボ核酸)情報を基にした肌分析を1万人規模で実施し、「RNA肌型」から化粧品を効率的に選択できる仕組みを構築する。アットコスメは月間1580万人が利用する、日本最大の化粧品口コミサイトだ。

 2022年5月にアットコスメ会員を対象に皮脂RNAを採取する協力者募集を開始した。得られた皮脂RNAからRNA肌型をグループ分けし、実際に投稿された化粧品口コミ評価と掛け合わせることで、好まれる化粧品との関連性を検討する。2023年末までに1万人規模のデータベースを構築する計画だ。2024年以降サービスの実装を目指す。アットコスメの化粧品口コミ情報にRNA肌型も指標として掲載する予定という。

RNA肌型を用いた化粧品のマッチングイメージ
RNA肌型を用いた化粧品のマッチングイメージ
(出所:花王)
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 RNA肌型というリアル空間の情報と、サイト上の口コミというサイバー空間の情報を組み合わせて、より個人の肌質に合った化粧品に関するデータベース構築と情報発信を目指す。「自分の肌に合う化粧品との出合いを生み出し、顧客満足をさらに高めたい」。花王スキンケア研究所の庭野悠グループリーダーはこう意気込む。「今までネットで完結していた情報がリアルの情報と融合することで、より精度の高い情報を提供できると考える」とアイスタイルプラットフォーム事業セグメントの浜田健作セグメント長も期待を膨らませる。

 皮脂の中に存在するRNAを網羅的に分析する「RNAモニタリング」は2018年に花王が開発した独自の解析技術である。RNAにはDNA(デオキシリボ核酸)の遺伝情報を伝達し、タンパク質を合成する働きがある。DNAはその人固有のものとして生まれたときから変わらないが、RNAは食生活や運動量など生活環境によって変化する。環境が変化すると体を適応させようとタンパク質を合成する。このときに情報を一時的に処理するのがRNAだ。そのため「肌や体の情報を見るにはDNAよりRNAのほうが有用である」と庭野グループリーダーは話す。

ブランドやメーカーを超えて選びたいというニーズに応える

 従来、皮膚のRNA発現情報を分析するには、血液を採取したり皮膚を切開したりといった手法のみであった。RNAは酵素によって簡単に分解される。皮膚にはRNAを分解する酵素が豊富に存在することから、例えば角層(肌の表面の層)や汗などから皮膚を傷付けることなくRNAを採取するのは難しいと考えられてきた。