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 オムロンが2029年度までに、生産管理や販売管理、会計などを支える基幹システムを刷新する。過去に基幹システムの運用管理を任せていた日本IBMと「復縁」し、二人三脚でプロジェクトを推進する。個別最適のシステムから脱却し、事業や地域をまたいでデータを活用しやすい体制を整える。

全社員にデジタル研修

 「社運が懸かっている」。オムロンで実質的なCIO(最高情報責任者)を務める衣川正吾執行役員常務は、基幹システム刷新を核にした「コーポレートシステムプロジェクト(CSPJ)」の重みについて、こう語る。各システムにデータが分散しており、DX(デジタルトランスフォーメーション)に取り組むうえでのボトルネックになり得るという危機感が背景にある。

 同社は2024年度までの中期経営計画において、「DXによるデータドリブンの企業運営」を掲げている。この実現に向け、「人材(同社は人財と表記)」「ITシステム」「データ活用」のそれぞれでDXを進めている。

オムロンが構築する3つのDXプラットフォーム
オムロンが構築する3つのDXプラットフォーム
(出所:オムロンの資料を基に日経クロステック作成)
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 主に最初の人材と3つ目のデータ活用に関連する取り組みとしては、約3万人いるグローバル全社員を対象に、データ分析などの基礎を学ぶプログラムを受けさせる。2022年度の第4四半期(2023年1~3月)に欧州地域からスタートし、2024年度中にグローバルの全地域に拡大する計画だ。全社員にデータ分析を教える背景について衣川執行役員常務は「そもそもITチームだけに依存してしまっている状況に問題があった」と話す。

 2つ目のITシステムについては、CSPJが中核だ。プロジェクトの重要度を物語るように、山田義仁社長CEO(最高経営責任者)自らがプロジェクトオーナーを務める。

 オムロンは2021年度にCSPJの構想企画フェーズを終えている。2022年度からは一部領域で先行導入を始めた。具体的には、人材マネジメント、経費精算、間接材購買の3領域で、欧州SAPのSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)である「SAP SuccessFactors」「SAP Concur」「SAP Ariba」をそれぞれの領域で使う。

 先行導入する人材マネジメントに関しては、2022年度中にグローバルの全地域にSuccessFactorsを展開する予定である。オムロンは中計において「ダイバーシティ&インクルージョン(多様性と包摂)の加速」を掲げているものの、女性管理職の人数などの集計に手間取り、数カ月かかっているという。SuccessFactors導入後は「十数秒で完了する」(衣川執行役員常務)見込みだ。

 CSPJの本丸ともいえるERP(統合基幹業務システム)については、2024年度末までにグローバル初期モデルを構築し、欧州地域で検証を進める。2029年度までにグローバルの全地域に拡大する想定である。衣川執行役員常務は欧州地域を先行させる理由について、「(事業規模は)コンパクトながら、製造から販売まで一通り(の業務が)そろっているから」とする。

 欧州でスモールスタートし、売り上げ規模が2倍以上の日本などへのスムーズな展開につなげる戦略だ。ERP製品の選定については、今後詰める。オムロンはCSPJの投資額を明らかにしていない。