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 スワニー(長野県伊那市)は、3Dプリンターを使った製造業向けの金型レスの部品量産サービス「Hybrid Factory」(ハイブリッドファクトリー)を開始した。同社の本社工場内にクリーンルームを設け、そこに米Carbon(カーボン)の3Dプリンター「M2」を導入。顧客の製品企画から部品設計、M2を使った試作・部品量産までを支援する。ターゲットにしているのは、「1000~5000個ほどの中少量生産」(スワニー代表取締役社長の橋爪良博氏)だ。

Hybrid Factoryに設置した3Dプリンター「M2」(米Carbon)
Hybrid Factoryに設置した3Dプリンター「M2」(米Carbon)
(写真:スワニー)
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 1万個以上生産するような量産品なら金型を造って射出成形した方が安価で早く生産できる。一方、数百個といった少量生産向けには、3Dプリンターで造った樹脂型で射出成形する「デジタルモールド」サービスを同社は展開している。Hybrid Factoryは、その間を埋めるサービスだ。ベンチャー企業で初期ロットがヒットした後、次に数千個規模の量産をしたいといったニーズに応える。クリーンルームにしたのは、造形品の品質を確保するため。「温度や湿度を安定させ、かつ溶剤なども扱える環境を整えた」(同氏)という。

 同社は、「次世代3Dプリンタ展」(2022年6月22~24日、東京ビッグサイト)において、Carbonの国内総代理店であるJSRのブースでHybrid Factoryの活用事例を紹介した。具体的には、Hybrid Factoryで設計・生産したドローンショー(石川県野々市市)のドローンのきょう体部品などを参考出展した。3Dプリンターによる積層造形(AM:Additive Manufacturing)を前提にスワニーが部品を設計したもので、強度を確保しながら従来に比べて約30%軽量化し、空気抵抗の低減を実現したという。

ドローンショーの小型ドローンの部品
ドローンショーの小型ドローンの部品
黒色の部品がHybrid Factoryで製作したもの。AMに最適化した設計で軽量化を図った。(写真:日経クロステック)
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