全2480文字
PR

 バンダイナムコホールディングス(バンナムHD)は150億円の予算を投じ、IP(知的財産)メタバースの構築に取り組む。同社は2022年4月からの中期経営計画で重点戦略の1つに「IP軸戦略」を掲げる。IPの世界観や特性を生かし、最適なタイミングで最適な商品やサービスと最適な地域に提供することでIP価値の最大化を図る。

 IPを軸に同社とファン、そしてファン同士をつなぐ新しい仕組みとしてIPごとのメタバースを開発する。第1弾は「機動戦士ガンダム」のメタバースだ。ファン同士をつなぐことで2022年3月期に1017億円だったグループ全体のガンダム関連領域の売り上げを、2025年度に1500億円まで伸ばすことを目指す。

 「ガンプラ」と呼ばれるガンダムのプラモデルや、アニメ、ゲーム、音楽などの各領域でメタバースサービスを順次開設する。最終的にはそれらのコロニーを連携させ、「SIDE-G」と呼ぶ1つのメタバースサービスを創出する。同社はこうした構想をガンダムの世界観になぞらえ、複数の「コロニー(宇宙空間に作られる人工の居住地)」を組み合わせて、1つの「ガンダムメタバース宙域(人工的に設定された宇宙空間の領域)」を構築する計画だと説明する。

ガンダムメタバースプロジェクトのイメージ画像
ガンダムメタバースプロジェクトのイメージ画像
(出所:バンダイナムコエンターテインメント)
[画像のクリックで拡大表示]

 一連のメタバース構想の第1弾として、2022年秋の期間限定テストオープンを目指して準備しているのは「ガンプラコロニー」だ。サービスの詳細は未定だが、同社が作成したイメージ映像によると(1)ユーザーがメタバース上で気に入ったガンプラを購入すると、ガンプラの実物が自宅に配送される(2)組み立てたガンプラをスマートフォンで撮影すると、そのガンプラと同じ形状の仮想アイテムをメタバースでも保有できる(3)同じメタバースに集まったファン同士で感想を話し合ったりガンプラ同士でバトルしたりできる、といった楽しみ方ができるよう、必要な機能を盛り込む見通しだ。

CtoCビジネスで新しい経済圏を創出

 バンナムHDはこれまで自社がサービスや製品を作り、それを消費者に届けるBtoC(消費者向け)のモデルで事業に取り組んできた。しかし「我々だけでは全てのファンをカバーできる製品を作ることはなかなか難しいという課題も感じていた」とバンダイナムコグループの藤原孝史チーフガンダムオフィサー(CGO)は話す。

バンダイナムコグループの藤原孝史チーフガンダムオフィサー(CGO)
バンダイナムコグループの藤原孝史チーフガンダムオフィサー(CGO)
(撮影:村田 和聡)

 この課題を解決するため、ファンの重要性に改めて気づいたという。「ガンダムファンがつくり出すものはファンに刺さる」(藤原CGO)。ファンが作るファンが欲しいものを売り買いするCtoC(個人間取引)ビジネスで、新しい経済圏の創出を目指す。

 「メタバースの構築はゴールではない。ファン同士がつながる手段だ」と藤原CGOは言い切る。「メタバースという手法を使ってファンのコミュニティーを作り、ファンと一緒になって自社IPを大きくしていきたい」(同)。