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 スポット市場の価格高騰に合わせて、常時バックアップ(JBU)の契約量が急増している。その一方で、多くの新電力はJBUを申し込んでも実は買えなかったという実態が明らかになった。この矛盾するような出来事の裏でいったい何が起きていたのか。

 2020年度冬季の電力需給ひっ迫や燃料価格上昇に伴う日本卸電力取引所(JEPX)スポット価格の高騰を機に、新電力による常時バックアップ(JBU)の契約量(kW・kWh)が増加している。

 JBUは制度的に担保された旧一般電気事業者による一種の相対卸取引であり、市場価格の変動をヘッジする効果を持つものであるため、BL(ベースロード)市場への移行期にあって、JBU契約が一時的に増加すること自体は必ずしも不自然なことではない。

2021年夏以降、旧一電の社外取引に占めるJBUの比率が上昇
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2021年夏以降、旧一電の社外取引に占めるJBUの比率が上昇
図1●旧一電の社外・グループ外向け取引の内訳推移(kWh)(出所:制度設計専門会合)

「申し込んでも断られた」

 ところが多数の新電力から、「JBUを申し込んでも断られて利用できない」という声が電力・ガス取引監視等委員会に寄せられているという。5月31日の制度設計専門会合で報告された。

 JBUは2000年の電力部分自由化の際に、ベース電源が不足する新規参入者(当時の特定規模電気事業者)に対する一種の支援措置として導入された、一般電気事業者による卸供給契約の一種である。

 現在は「適正な電力取引についての指針」で適正な契約の在り方を規定しており、JBU利用可能量についても「新規需要の一定割合」(特高・高圧需要では3割程度、低圧需要では1割程度)と定められている。

 JBUは旧一電の全電源平均コストを踏まえた料金が設定されている。ベース電源の代替として位置付けられていることから、基本料金は高く、従量料金は安いという二部料金制をとる。従量料金には燃料費調整制度(燃調)が適用される。

 新電力から旧一電に対する日々のJBU利用通告(発注)の期限は前日9時であり、前日10時が入札期限であるJEPXスポット市場の入札前に利用量は確定する。

 JBUは相対契約の位置づけであるため、具体的な料金は公開されていないが、制度設計専門会合で監視委員会から全国平均の水準が示された。

JBU価格はスポット高騰時も安定的に推移
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JBU価格はスポット高騰時も安定的に推移
図2●JBU価格・スポット市場価格・BL市場価格の比較(出所:制度設計専門会合)

 それによるとJBUの従量単価は季節別・時間別に異なり、旧一電各社によっても異なるが、従量単価は6~10円/kWh(燃調込み)、基本料金を加味した総合単価は10~15円/kWhで推移している。

 なお、図2のJBU総合単価は負荷率50%で算出されている。例えば2022年2月の実績を見ると、従量単価はちょうど10円/kWh、総合単価は15円/kWhと見えることから、5円の差額を負荷率50%で割り戻すと、基本料金の平均は1800円/kW程度と試算される。