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 再エネビジネスの盛り上がりとともに「PPAモデル」「PPA事業」「オンサイトPPA」「オフサイトPPA」「バーチャルPPA」「コーポレートPPA」といった言葉があふれています。そもそもPPAとは何なのでしょうか。PPAという3文字に含まれる意味と、PPAと名前の付くビジネスを一挙に解説します。

(出所:123RF)
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【質問1】「PPA」という言葉がついた新しい用語が多すぎて混乱しています。

【回答1】再エネビジネスの盛り上がりとともに、たくさんの用語が登場しています。詳細を解説する前に、PPAと名の付く言葉をざっと整理しておきましょう。

 最もよく耳にするのは「PPAモデル」ではないでしょうか。PPAモデルは再生可能エネルギーを活用した新たなビジネスモデルを指す言葉です。PPAモデルを手がける事業者(PPA事業者)が顧客(需要家)の拠点に太陽光パネルなどの発電設備を設置し、需要家はこの設備による電力を購入します。

 需要家は、使用する電力量に応じて一定のPPA料金を支払います。再エネ発電設備や設置工事といった多額の初期コスト負担なしに、再エネ電力を利用できるのです。つまり、PPAモデルは再エネ発電設備のサブスクなのです。発電設備などの機器や設置工事に関する代金、メンテナンス料はPPA事業者が負担します。

PPAモデル以外の言葉は、ほぼすべて「コーポレートPPA」の関連用語です。コーポレートPPAは「需要家がオフテイカーの発電事業」という意味の言葉で、様々なビジネスモデルがあります。

 コーポレートPPAには、需要家側からみた発電設備の設置場所による分類を示す「オンサイトPPA」と「オフサイトPPA」、電力取引方法による分類である「フィジカルPPA」と「バーチャルPPA」があります。

 プロジェクトの生産物やサービスを購入し、プロジェクトを成り立たせる役割を担う者を「オフテイカー」といいます。 オンサイトPPAは、需要家がオフテイカーであり、需要家の拠点に発電設備がある発電事業という意味で、広義にはPPAモデルと同じ意味です。分かりにくいかもしれませんが、PPAモデルはあくまで特定のサブスク型ビジネスモデルを示す言葉なのです。

【質問2】PPAが付く多数の言葉の大半はコーポレートPPAの関連用語なのですね。PPAモデルだけが特定のビジネスモデルを指す言葉だと知って、スッキリしました。
 ただ、PPAは「Power Purchase Agreement」の略で、日本語に訳すと「電力購入契約」ですよね。PPAモデルは「電力」の「購入」なのでしょうか。また、小売電気事業者による電力サービスでは需要家が「電力」を「購入」していますがPPAとは言わないのですか。

【回答2】まずはPPAの定義からおさらいしましょう。本連載でコーポレートPPAを解説した際に、PPAの定義を次のように説明しました(「最新・再エネビジネスの『コーポレートPPA』はFIP導入で花開く?」参照)

関連情報: 最新・再エネビジネスの「コーポレートPPA」はFIP導入で花開く?

 「PPAとはPower Purchase Agreementの略語です。日本語では、発電側の視点から『売電契約』と呼ばれたりします。PPAは、発電プロジェクトにおいて発電事業者の収入の源であり、事業者が投資を決定するうえでも、プロジェクト・ファイナンスによって資金調達を行ううえでも要となる契約です。」

 このように、PPAというのは発電事業者による電力供給に際して使う言葉なのです。発電事業者は、PPAによる収入から発電設備の設置工事やメンテナンスに要する費用を回収します。このためPPAは一般に長期間の契約となります。発電事業者が安定的に収入を得られるよう、価格交渉の際に固定価格を希望するケースが多いのもPPAの特徴です。

 つまり、PPAは単なる電力の購入取引という意味にとどまらず、発電事業に必要なコストを賄い、事業を成り立たせるに足る安定的な収入をもたらす長期間の契約という意味があるのです。