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 テレビアニメ「まじめにふまじめ かいけつゾロリ」の原作「かいけつゾロリ」や「おしりたんてい」などで知られる児童書出版社ポプラ社が、教育ICT事業に参入した。学習用端末で同社を含め22社の作品が読める読み放題サービスや、百科事典を使った調べ学習支援サービスの提供を始めた。「GIGAスクール構想」が新型コロナウイルス禍で前倒しになるなか社長直轄のプロジェクトチームで読み放題サービスの試作版を早期にリリース。学校からの意見を「まじめに」改善につなげ、2022年4月の有料版サービス開始に至った。

 「全国の学校のインフラになるように浸透させていきたい」。ポプラ社こどもの学びグループの勝又慶MottoSokka!統括チームリーダーは、2022年4月に立ち上げた教育ICTプラットフォーム「MottoSokka!(もっとそっか!)」の将来像への思いを語る。MottoSokka!は創業75周年の同社が「学びのきっかけをデジタルでも提供できる企業になる」(勝又チームリーダー)ことを目指すサービスだ。

GIGAスクール構想に合わせて学校向け教育ツールを開発した
GIGAスクール構想に合わせて学校向け教育ツールを開発した
(出所:ポプラ社)
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 MottoSokka!は電子書籍読み放題サービス「Yomokka!(よもっか!)」と同社の「総合百科事典ポプラディア」のコンテンツをベースとした調べ学習応援サービス「Sagasokka!(さがそっか!)」の2つのサービスからなる。Yomokka!は読んだ本の数に応じて本棚を飾るアイテムなどと交換できるポイントがもらえる機能や児童生徒同士で感想や意見を共有できる機能、Sagasokka!は季節や時事ニュースに関連したコラムや豆知識といったトップページのコンテンツから関連項目を表示する機能や、調べた項目をクリップしてメモを追記する機能など、実用性を意識してつくり込んだ印象だ。

読んだ本の感想を共有できる機能などを盛り込んだ
読んだ本の感想を共有できる機能などを盛り込んだ
(出所:ポプラ社)
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 一方で両サービスとも、実は計画を前倒して急ピッチ開発でリリースにこぎ着けたという。GIGAスクール構想は当初2023年度まで4年あまりをかけて進めていくとしていたが、コロナ禍で2021年3月末までに小中学生にほぼ1人1台の端末が整備されたためだ。

 MottoSokka!を管轄するこどもの学びグループを立ち上げたのは2020年8月。MottoSokka!正式リリースの1年半ほど前だった。開発ベンダーとして参画したテックファーム開発本部の冨山光紀マネジャーは「やりたいことが明確でブレがない。1つひとつの意思決定が早かった」とポプラ社の姿勢を振り返る。

 ポプラ社は迅速な開発のため、こどもの学びグループを千葉均社長の直轄とした。開発を先行させたYomokka!では、初めにこどもの学びグループと子育て世代の社員などが集まり、欲しい機能を徹底的に議論。子どもにとってタブレット端末が学校でも家庭でも身近になるなか「日常的に密接に本に触れてもらう」というサービスの立ち位置をあらかじめ明確にした。その上で仕様などに悩みが生じた場合は千葉社長の判断を仰ぎ、即座に意思決定して開発が滞らないようにした。