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 スルガ銀行は2022年5月、永住権を持たない外国人向けに普通預金口座をスマートフォンで開設できるサービスを開始した。地方銀行では初めてという。Wovn Technologies(ウォーブンテクノロジーズ)が提供する多言語化SaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の「WOVN.io(ウォーブン・ドットアイオー)」を使い、約3カ月でサイトを構築できた。2022年6月からはスマホアプリでもWOVNの導入に向けた技術検証を進めている。

スルガ銀行における在留外国人向け口座開設サイトの多言語化イメージ
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スルガ銀行における在留外国人向け口座開設サイトの多言語化イメージ
(出所:スルガ銀行)

 新型コロナウイルス禍で非対面の顧客接点強化が重要になるなか、ITリテラシーや国籍を問わず、いかに金融サービスをくまなく提供するかが課題となっていた。スルガ銀行ではあらゆる人が必要な金融サービスを利用できるようにする「ファイナンシャル・インクルージョン(金融包摂)」の実現に向け、2021年9月に「FI推進室」を設置。WOVNによる5言語に対応した口座開設サイトの施策も、その一環だ。

 口座開設サイトは英語、ベトナム語、中国語(簡体字)、スペイン語、ポルトガル語に対応させた。「静岡県にはブラジルやベトナムからの外国人労働者が多い。在留外国人は日本語に対して一定の理解はあるものの、専門用語が多い規定などは母国語で分かりやすく伝えるのが望ましいと判断した」。スルガ銀行ダイレクト事業部FI推進室の鈴木謙吾室長はこう語る。

コストとスピードで採用

 口座開設の仕組みは米Salesforce(セールスフォース)の顧客情報管理(CRM)サービスである「Experience Cloud」を使って構築していた。5言語向けにゼロから開発した場合、「英語だけでもテストを含めて半年はかかる。費用も1言語当たりWOVNの2~3年分の利用料がかかる見積もりが出た」(鈴木室長)。

 コストを抑えつつ、いち早く多言語化に対応すべくSaaSを検討したところ、WOVNの採用に至った。WOVNは三菱UFJ銀行や三井住友銀行でも導入実績がある。特徴は日本語のHTMLにスクリプトを1行挿入するだけで、多言語化に対応できる点だ。サイトをスクラッチで作成した場合は、言語の数だけページを作る必要がある。これに対し、WOVNは日本語のページを基に機械学習技術などを使って各言語に翻訳したページを自動生成する。

 日本語のページを更新・追加した場合も自動で検知し、更新分を翻訳する。「更新時に他の言語のページまで編集する手間が省けるため、運用コストを減らせる」(鈴木室長)。機械翻訳では精度が不十分な用語は、人力での編集も可能だ。