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 ジェイテクトは、高耐熱リチウムイオンキャパシター(以下、高耐熱キャパシター)の第2世代品を2024年以降に投入し、本格的な量産を始める。2022年7月に開いた説明会で計画を明かした。

ジェイテクトが開発した高耐熱キャパシター
ジェイテクトが開発した高耐熱キャパシター
容量は1000Fで、両側からタブを出したタイプ。(写真:日経クロステック)
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 同社が高耐熱キャパシターの第1世代品の生産を開始したのは2019年10月である。高温や極低温など厳しい環境下でも使える特徴があり、自動車メーカーだけでなく、農機・建機メーカーも含め「国内外問わず引き合いが来ている」(同社フェローで蓄電デバイス事業部部長の西幸二氏)状態だ。同時に課題も見えてきた。西氏によると「コストの問題があり、なかなか量産フェーズまで追求できていない」という。

 そこでジェイテクトは、コストを低減した第2世代品の開発を急ぐ。「2023年までは第1世代品をサンプル的に使ってもらい、2024年以降に第2世代品を発表する」(西氏)。同氏は「当社の高耐熱キャパシターの最終的な目標はコスト半減だ」と語った。

 第2世代の高耐熱キャパシターは、顧客のニーズに合わせて、新たな材料の使用や生産性の向上によって低コスト化を図る。性能面では、現世代品よりも内部抵抗を下げる。特に大電流領域の信頼性をさらに高めるとした。

高耐熱化できた理由

 キャパシターは2次電池とは異なり、電気を蓄えたり放出したりする過程で化学反応を起こさない。蓄電容量は小さいものの、放電・蓄電が速く「瞬間的に大きな電力を発生できる」(ジェイテクト 蓄電デバイス事業部 蓄電デバイス開発室室長の三尾巧美氏)。繰り返しの充放電による性能劣化が少ないため、寿命も長い。

 ジェイテクトの高耐熱キャパシターは使用温度範囲が-40~85℃と、従来のリチウムイオンキャパシターやリチウムイオン電池よりも広いのが特徴だ。電圧を制限すれば100℃でも使用可能としている。特に電流が大きいときに起こるキャパシターの自己発熱に強いため、大電流領域でのサイクル寿命が長い。「耐熱性を上げることで、出力を一般的なリチウムイオン電池の約10倍に高められた」(三尾氏)という。

ジェイテクト高耐熱キャパシターの特徴
ジェイテクト高耐熱キャパシターの特徴
充放電寿命が長く、動作温度範囲も広い。(出所:ジェイテクト)
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 同社は、2つの改善点によって高耐熱化を実現した。1つは、高耐熱キャパシターに使う電解液に改良を加えたことだ。以前の電解液は70℃で分解していたが、-50℃でも凍らず100℃でも耐え得るものにした。もう1つは、電極と電解液の相性の良い組み合わせを新たに確立したことだ。高耐熱キャパシターの電極材料と電解液の相性が悪いと本来の性能を発揮できないため、性能を最大限引き出せる組み合わせを探したという。これらによって安定した性能を手に入れた。

 同社の高耐熱キャパシターは、乗用車のバックアップ電源としての採用を中心に想定している。故障で車両の主電源が失陥したときに、高耐熱キャパシターが瞬間的に電力を供給し、各システムの機能を継続させる。