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 イオングループが2023年に始める次世代ネットスーパー事業の輪郭が見えてきた。大規模物流拠点を設けて既存ネットスーパーの6割増の品ぞろえ、ロボットの全面採用による荷出し作業の自動化、AI(人工知能)で高品質な顧客サービス開発といった取り組みで、人海戦術頼みの既存ネットスーパーを変革する。イオンが掲げる2025年度のデジタル売り上げの目標は1兆円。最重点施策の1つ、次世代ネットスーパーの技術戦略に迫る。

 イオングループの次世代ネットスーパー事業の拠点は、千葉市緑区誉田町に建設する予定の「イオンネクスト誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)」だ。同社として初めての、ネットスーパー専用の大規模な倉庫兼物流拠点である。敷地面積は7万2000平方メートル余りと、東京ドームの1.5倍に及ぶ。地上3階建てで、700人の従業員が勤めるという。イオンの完全子会社で、新たなネットスーパー事業の開発を担うイオンネクストが建設する。

イオンネクスト誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)の建物外観(千葉市緑区)
イオンネクスト誉田CFC(顧客フルフィルメントセンター)の建物外観(千葉市緑区)
(出所:イオンネクスト)
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 取り扱う商品の品目数(SKU)は5万点。イオンの既存ネットスーパーの品目数は店舗により異なるが最大で3万点ほどとみられ、次世代ネットスーパーは6割多い。ネットスーパー専用の大規模拠点の特徴を生かし、既存店舗の商品を届ける従来のネットスーパーを上回る品ぞろえを目指す考えだ。取り扱う商品は加工・冷凍食品、牛乳や豆腐といった日配品、野菜、果物、魚、肉、酒、OTC(一般医薬品)、化粧品、日用雑貨、ホームウエア、ベビー・子ども用品まで幅広い。当初は誉田CFCが立地する千葉県と首都圏にサービスを提供し、将来は中継地点を設けたりCFCを増やしたりして、商圏の拡大を検討する。

ロボが24時間稼働、人海戦術の弱点克服へ

 サービスの内容に加え、その実現手法も従来のネットスーパーとは一線を画す。最大の特徴は注文の受け付けから出荷指示、商品のピッキング(取り出し、集荷)、配送管理まで、誉田CFC内の一連の作業にデジタル技術をフル活用している点だ。

 商品のピッキング作業を主に担うのは、人間ではなくロボットだ。車輪を付けたロボットが商品保管庫の格子状の枠に沿って縦横に動き、保管庫の中から商品を取り出す。

 導入するロボットは英Ocado Solutions (オカドソリューションズ)が開発したものだ。同社の親会社は店舗を持たずオンラインで注文を受け付けるネットスーパー事業を運営し、ロボットや関連ソフトの技術に強みを持つ。イオンは2019年にオカドソリューションズと日本における独占パートナーシップ契約を結んだ。ロボットを活用することで、イオンを含む既存のネットスーパーの弱点だった生産性の低さを補う。

商品のピッキングに導入するロボット。誉田CFCでは24時間稼働の予定。毎秒4メートルで動き、およそ6分で50品目をピッキングできるという
商品のピッキングに導入するロボット。誉田CFCでは24時間稼働の予定。毎秒4メートルで動き、およそ6分で50品目をピッキングできるという
(出所:イオンネクスト)
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