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トヨタ、同じカメラを使って巻き返し

 トヨタも車種によって、複数のセンサーサプライヤーの製品を使い分ける。小型ハイブリッド車(HEV)「アクア」は、同社のADAS「Toyota Safety Sense(第2世代)改良版」(以下、TSS2改良版)を搭載する。小型車「ヤリス」シリーズのシステムと同じで、主要センサーの単眼カメラはドイツContinental(コンチネンタル)製である。

 トヨタはTSS2改良版の夜間性能は改良前と変わらないとしていたが、コンチネンタルのカメラを使うヤリスシリーズは、2020年度の夜間歩行者試験で最高点を獲得できなかった。アクアはヤリスシリーズと同じカメラを使いながら、2021年度の夜間歩行者試験で最高点を獲得し、巻き返しに成功した(図3)。

アクア
図3 トヨタ自動車の「アクア」
単眼カメラとミリ波レーダーはコンチネンタル製である。2021年度の夜間歩行者試験で最高点を獲得し、巻き返しに成功した。トヨタ自動車の写真を基に日経Automotiveが作成。
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 これに対して、中型車「カローラ/同ツーリング」(以下、カローラ)は改良前のTSS2を搭載し、デンソー製のカメラとミリ波レーダーを使う。コンチネンタルのカメラを使うアクアは2021年度の夜間歩行者試験で最高点を獲得したが、デンソーのカメラを採用するカローラは最高点を獲得できなかった。ただ、カローラの得点率は99%を超えており、デンソーのカメラの夜間性能はコンチネンタルのカメラに迫る。

自転車や交差点対応が新たな競争軸

 一方、前述したように、夜間歩行者を対象にした2021年度の自動ブレーキ試験で最高点を獲得できなかった3車種も得点率は97%を超えており、各社のシステム性能の差は縮まっている。今後の自動ブレーキの競争軸は、(1)サイクリスト(自転車運転者)や(2)交差点の右左折、(3)対向車注)、(4)出合い頭衝突──などへの対応になる。

注)対向車への対応とは、直進路を走っているときに自車が対向車線にはみ出したり、対向車が自車の車線にはみ出してきたりした場合に、衝突を回避、あるいは衝突の被害を軽減することである。

 このうち、昼間のサイクリストを対象にしたJNCAPの自動ブレーキ試験は2022年度に追加された。交差点の右左折を対象にした自動ブレーキ試験は、2024年度に始まる予定だ。2025年度以降には、対向車を対象にした自動ブレーキ試験の導入が想定される。

 これらの新たな試験に対応するには、センサーのより一層の性能向上が求められる。例えば、カメラを広角化して、車両前方のより広い範囲の対象物を検知できるようにする必要がある。また、ミリ波レーダーなどを活用して、カメラだけでは対応が難しい自車の側方から急に飛び出してくる対象物を確実に検知することも求められる。