全2678文字
PR

 トヨタ自動車が2022年後半に発売予定のレクサスブランドの新型電気自動車(EV)「RZ」は、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間プレス材)を用いたボディー骨格の製造に新工法を適用することなどで、高強度と軽量化を実現した。ホットスタンプの適用部位を増やすことで衝突安全性能を高め、軽量化によって航続距離の低下を抑えた(図1)。

レクサスRZ
図1 EV専用モデルの新型「レクサスRZ」
新工法を適用してホットスタンプの適用部位を増やし、ボディー骨格の強度と軽さを両立させた。(画像:トヨタ自動車)
[画像のクリックで拡大表示]

 レクサスブランドのRZ(以下、新型車)は、同ブランド初のEV専用モデルである。トヨタブランドの新型EV「bZ4X」と同じEV専用プラットフォーム「e-TNGA(Toyota New Global Architecture)」を適用する。搭載するリチウムイオン電池パックの総電力量もbZ4Xと同じ71.4kWhで、満充電からの航続距離はWLTCモードで約450km(開発目標値、以下同じ)となっている。

 新型車は、モーターとインバーター、トランスアクスルを一体化した電動駆動モジュール「eAxle(イーアクスル)」を2個搭載する4WD(四輪駆動)車である。モーターの出力は前輪側が150kW、後輪側は80kW。bZ4Xの4WD車も同モジュールを2個搭載するが、新型車は前輪側の出力がbZ4X(80kW)より大きい。後輪側の出力はbZ4Xと同じだ(図2)。

e-TNGA
図2 EV専用プラットフォーム「e-TNGA」
トヨタブランドの新型EV「bZ4X」と同じプラットフォームを適用した。リチウムイオン電池の総電力量もbZ4Xと同じ。航続距離はWLTCモードで約450km(開発目標値)である。トヨタ自動車の画像に日経Automotiveが加筆。
[画像のクリックで拡大表示]

「走りの味」を重視して開発

 新型車の開発責任者である渡辺 剛氏(トヨタLexus International Lexus Electrified チーフエンジニア)は新型車のボディー開発に当たって、「軽量・高剛性を効率的に実現し、レクサスならではの走りの味(Lexus Driving Signature)に磨きをかけた」と話す。

 具体的には(1)大容量電池の重さを感じさせない応答性の良いクルマの動きとクルマと人の一体感、(2)ステアリング支持剛性や直結感の向上、(3)乗り心地やNV(騒音・振動)の改善──の3点を挙げる。

 また前述したように、新型車の航続距離は約450kmであり、bZ4Xの4WD車より約90km短い。ただ、新型車のボディー開発を担当した山中善陽氏(トヨタLexus International BR LE開発室グループ長)は、「航続距離の低下をできるだけ抑えるために、ボディー骨格の軽量化を図った」と述べる。

 さらにボディー骨格を軽くしながら、全方位(前面・側面・後面)の衝突安全に対応するため、骨格の製造に「パッチワーク工法」という手法を適用し、ホットスタンプの適用部位を増やした。