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 OKI(沖電気工業)は2022年7月6日、本格稼働を開始したOKI本庄工場H1棟(埼玉県本庄市)を報道機関向けに公開した。同社はH1棟を同年6月に公表したDX(デジタルトランスフォーメーション)新戦略のフラグシップ工場と位置付け、人工知能(AI)やロボットを随所に採用した。同所で実証したDX関連の技術は積極的に外部に開示し、最終的には製品・サービスとして外販する考えだ。

OKI本庄工場H1棟
OKI本庄工場H1棟
脱炭素に配慮し、大規模生産施設として国内初となる「ZEB(Net Zero Energy Building)」認定を取得している。(写真:OKI)
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 「生産拠点は規模拡大だけでなく、将来を見据えたチャレンジが求められている。H1棟には当社のDX技術をつぎ込んだ」――。同日、OKIの森孝廣社長はこう語った。H1棟は地上2階建てで延べ床面積は1万8838m2。通信端末やAIエッジコンピューターの他、ETC(自動料金収受システム)などの社会インフラシステム、外部顧客の電子部品などを生産している。こうした製品の在庫管理、搬送、組み立て、検査など幅広い工程でDX化を進めた。

OKI森孝廣社長
OKI森孝廣社長
(写真:日経クロステック)
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 例えば、在庫管理ではリール品の保管を効率化するシステムを導入した。リール品とはコンデンサーなどの電子部品をテープに格納し、巻いたもの。従来は、リール品の種類ごとに決まった収納場所があった。種類が増えると、棚の数が増える他、出し入れに時間がかかるなどの課題があった。

 そこで同社は、リール品と収納棚の情報を電子化し、リール品をフリーロケーションで収納できる棚を開発した。空いている場所にすぐリールを収納できる上に、保管場所の無駄を従来比で約2割削減できたという。リールを取り出す際は、対象物がある棚のLEDが点灯し、すぐに見つけられるようにして、作業効率も高めた。現在は開発機が1台稼働中で、今後従来の棚を順次置き換える計画だ。加えて、リール内のコンデンサーをX線によって高速・高精度に数える装置も導入し、在庫をリアルタイムかつ正確に把握する体制を築いている。

 搬送においては、倉庫と生産ラインや、生産ラインと梱包工程の間で部品や工具、製品などを運ぶ自動搬送ロボット(AGV)を導入した。特徴はロボットが自律走行する点だ。生産計画および作業実績データと連携しているため、作業者が行き先などを指示する必要がなく、ロボットが部品などを引き取るタイミングを自ら判断して移動する。磁気テープなどのガイドも不要で、ロボットは周囲の障害物との距離を測りながら自走する。ロボットは購入品だが、ソフトウエアはOKIグループで内製し、導入コストを抑えた。

OKI本庄工場H1棟を走るAGV
OKI本庄工場H1棟を走るAGV
現在は一部で使用しているが、将来は活用範囲を工場全体に広げ、1日約10kmの移動距離の削減を目指す。(写真:日経クロステック)
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