全2373文字
PR

 LINEとLINE Payは2022年8月2日、LINEアプリとマイナンバーカードを使って本人確認をしたうえで行政手続きができる地方自治体向けサービスを新たに始めると発表した。住民票の写しや税関係証明などを申請から申請の手数料の決済までLINE上で完結できるようになる。

 2022年1月に先行して導入した東京都渋谷区では、特定の対象者が申請する手続きで対象者の約半数がLINEとマイナンバーカードを使って申請した。対象者への周知から申請までLINEで完結するため、スムーズに申請できると期待する。

 マイナンバーカードの交付率は2022年6月末時点で45.3%。「本人確認の最上位に位置付けられるマイナンバーカードを普及する」(牧島かれんデジタル相)として、政府はマイナンバーカードの普及を推進している。LINEとマイナンバーカードを使った行政手続きが普及することで、マイナンバーカードの用途拡大につながるか。

LINE上で本人確認、申請、決済が完結

 LINEとLINE Payが同日から新たに始めたのは「LINE Pay公的個人認証サービス」。自治体のLINE公式アカウントの案内に従って行政手続きを申請する際、マイナンバーカードの内蔵ICチップに搭載した「公的個人認証サービス(JPKI)」の署名用電子証明書を利用することで本人確認し、電子証明書から基本情報(氏名、生年月日、性別、住所)を取得したうえで、申請情報に電子署名を行う。

 利用者はLINE上の案内に従って、自身で設定した署名用電子証明書のパスワードを入力し、マイナンバーカードをかざす。NFC(Near Field Communication)機能搭載のスマートフォンであれば利用できる。対象の手続きには、住民票の写しや転出届、税証明書などの申請といった本人確認が必要な行政手続きを想定している。

 LINE Payのオンライン決済機能を使うことで、申請だけでなく申請に必要な手数料の決済までLINE上で完結できる。決済方法については、LINE Pay以外でも利用可能で「住民や自治体のニーズによって何を使っても構わない」(LINE Pay担当者)としている。  

LINE Pay公的個人認証サービスの利用方法のイメージ
LINE Pay公的個人認証サービスの利用方法のイメージ
出所:LINE、LINE Pay
[画像のクリックで拡大表示]

保育料還付請求の約半数がLINEで申請

 ただ、LINE上でのマイナンバーカードを使った本人確認の本格稼働は当初予定より大幅に遅れた。LINEとLINE Payは2021年4月から同サービスを開始すると2020年9月に発表していたが、約1年遅れて本格稼働したことになる。遅れた理由について、「サービス提供に当たり会社としての体制が整ったのがこの時期だった」(LINE Pay担当者)としている。

 サービスの本格提供開始に先立ち、6自治体で先行実証を進めてきた。例えば最初に2021年12月に開始した富山県魚津市では住民票の写し、転出届、独身証明書などの申請に活用している。

 先行自治体の一つである渋谷区では2022年1月に、LINEとマイナンバーカードを使った住民票の写しの請求を開始した。ほかに、印鑑登録証明書、課税(非課税)証明書、所得証明書、納税証明書、ハッピーマザー出産助成金、保育料還付請求にも対応した。

 渋谷区でのLINEとマイナンバーカードを使った申請実績では、住民票の写しの請求など5つの証明交付申請での利用件数は2022年1月から6月までで490件にとどまった一方で、保育料還付請求の利用件数は2022年6月から7月までで160件と対象者の約半数に上った。

 保育料還付請求での利用率が伸びた要因として、渋谷区の宝田英之デジタルサービス部デジタルサービス推進担当課長は「対象者を絞り込んで周知するため、還付手続きを本人に知らせる際にLINEとマイナンバーカードでの申請ができることを伝えることができた」ためとする。