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 第2次岸田改造内閣が2022年8月10日に発足した。河野太郎デジタル大臣は2022年8月12日、就任後初めての記者会見を開き、日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)を目指すに当たり「まずデジタル庁が行政のDXをしっかり進め、デジタル化することで世の中が変わると国民に実感してもらうのが一番大事と思っている」と語った。

 デジタル庁は社会や行政のDXに向けた「政府の司令塔」として設置、2022年9月1日で発足1周年を迎える。ただ、必ずしも当初の計画通り順調には取り組みが進んでいない。河野デジタル大臣には、課題が山積するいばらの道が待ち構える。

就任後初の記者会見に臨む河野太郎デジタル相
就任後初の記者会見に臨む河野太郎デジタル相
(撮影:日経クロステック)
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首相「我が国のDXを一気に加速してもらいたい」

 河野デジタル大臣は従来の慣例だった組閣当日夜の記者会見を見送り、翌営業日である2022年8月12日にデジタル庁記者会見室とオンラインのハイブリッドで実施。「(時間が)遅くなることが分かっていたので(官邸の)了解を取った上で、12日にした」と説明した。なお、牧島かれん前デジタル大臣も就任時、当日深夜を避け翌日に記者会見をしている。河野デジタル大臣の記者会見には現地で約40人、オンラインから300人以上が参加した。

 デジタル庁については「お盆明けに(牧島前デジタル大臣から)引き継ぎを受ける」として詳細への言及は控えたが、日本のデジタル化の遅れに触れたうえで「人口減少・高齢化が進む中で、デジタルにできることはデジタルで、人にできることは人にできるようにしていく」と意気込みを語った。

 河野デジタル大臣は1963年生まれの59歳。米ジョージタウン大学卒業後、富士ゼロックスなどを経て、96年の衆院議員選挙で初当選。外務大臣、防衛大臣などを歴任した。

 菅義偉内閣では規制改革・行政改革担当相、ワクチン接種推進担当相を務め、「脱ハンコ」を進めたほか現在デジタル庁が運用するワクチン接種記録システム(VRS)の開発を主導し、新型コロナウイルスワクチンの接種記録や接種証明書のデジタル化とデータ活用に貢献した。

 デジタル庁が2021年9月に発足後、デジタル大臣は初代の平井卓也氏、2021年10月4日に就任した牧島氏に次ぎ3人目となる。河野デジタル大臣は内閣府特命担当大臣(デジタル改革、消費者及び食品安全)、国家公務員制度担当を兼任する。直近は自民党の広報本部長を務め、Twitterのフォロワー数は約249万5000人。ちなみに岸田文雄首相は約59万人だ。

 「諸外国から後れを取っている我が国のDXを一気に加速するため、持ち前の実行力、突破力で進めてもらいたい」。岸田首相は2022年8月10日の内閣改造に当たっての記者会見で河野デジタル大臣を起用した理由についてこう述べた。

遅れる自治体システム標準化とガバメントクラウド

 デジタル庁はデジタル改革、行政改革、規制改革を一体的に推進するとして、菅首相(当時)をトップに設置され、政府の司令塔として行政DXを手掛けてきた。

 具体的には、政府情報システムの刷新、全国に約1700ある地方自治体の情報システムを標準化・共通化する自治体システム標準化、政府と自治体が共同利用するガバメントクラウドの整備のほか、2021年11月に政府が設置したデジタル臨時行政調査会(デジタル臨調)の事務局を務め、デジタル社会への転換を法制度の面から担っている。

 だが、いずれも当初の計画通り順調に進んでいるとは言い難い。