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 カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)傘下のCCCマーケティングとトレジャーデータが2022年8月から、新たなデータサービスの提供を始めた。トレジャーデータのデータ基盤上で、利用企業が持つ自社顧客のデータとCCCマーケが保有するT会員データを突合する。CCCにとって虎の子といえるT会員データの価値を引き出す施策だが、個人データの第三者提供を巡って懸念も浮上している。

 両社は2022年7月28日、「CDP(カスタマー・データ・プラットフォーム)」と呼ばれる領域で業務提携すると発表した。2022年8月から、CCCマーケが保有するT会員データとトレジャーデータのデータ活用技術を組み合わせたデータサービス「CDP for LIFESTYLE Insights」の提供を始めた。初年度に30社程度の契約獲得を目指している。

「フェアでオープンな情報プラットフォーム」

 CCCマーケはT会員データをパートナー企業に開放する戦略を打ち出しており、トレジャーデータとの提携はその第1弾という位置付けだ。2022年7月28日に都内で開いた記者会見で、CCCマーケの田代誠社長は「フェアでオープンな情報プラットフォームを作っていきたい」と力を込めた。

CCCマーケティングの田代誠社長(中央左)やトレジャーデータの三浦喬社長(中央右)ら
CCCマーケティングの田代誠社長(中央左)やトレジャーデータの三浦喬社長(中央右)ら
(撮影:日経クロステック)
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 具体的にCDP for LIFESTYLE Insightsとはどのようなサービスなのか。同サービスは、トレジャーデータのデータ基盤「Treasure Data CDP」上で、2種類のデータセットを突合する。利用企業が持つ自社顧客のデータ(ファーストパーティーデータ)と、CCCマーケが保有するT会員データだ。

 CCCマーケとトレジャーデータは、両データセットをメールアドレスまたは電話番号で突合した上で、利用企業に対して主に2つのデータサービスを提供するという。1つは、突合したデータを基に顧客のデモグラフィック(年齢や性別、世帯収⼊などの人口統計学的属性)や好みの傾向などを統計情報として抽出し、企業に提供する分析サービス。もう1つは、T会員の行動履歴データなどから抽出した属性情報を、個人のIDにひもづけて利用企業に提供するサービスだ。

 後者のサービスは、突合により個人を特定した状態で利用企業に個人の属性データを提供していることから、CCCマーケから利用企業への「個人データの第三者提供」に当たる。