全2185文字
PR

 日産自動車は中型SUV(多目的スポーツ車)「エクストレイル」の全面改良車を、2022年7月25日に日本で発売した。先代車(3代目、2013年12月発売)は、アライアンス(日仏3社連合)共通プラットフォーム(PF)の「CMF(Common Module Family)-C/D」を初めて適用した車両だった。全面改良した新型車(4代目)も同じPFを適用しているが、先代車のボディー骨格を進化させた(図1)。

中型SUVの新型「エクストレイル」
図1 中型SUVの新型「エクストレイル」
先代車と同じPFのCMF-C/Dを適用するが、全方位の衝突安全に対応するため先代車からボディー骨格を進化させた。(写真:日経Automotive)
[画像のクリックで拡大表示]

 具体的には、ボディー骨格の構造を改良したことに加え、ホットスタンプ(高張力鋼板の熱間加工材)を骨格に使うことなどで、全方位(前面・側面・後面)の衝突安全性能を向上させた。また、骨格へのホットスタンプの適用と、ドアなどの外板にアルミニウム(Al)合金を採用することで、約65kgの軽量化に成功した。ボディーの軽量化は、燃費の低下を抑えることに寄与した。

 新型車は日産のシリーズ方式のハイブリッド機構「e-POWER」を全車に搭載した。発電用のエンジンには、排気量1.5Lで直列3気筒のVCR(可変圧縮比)直噴過給ガソリンエンジンを選択した。同エンジンを採用することで、高速走行時に燃費が悪化するといった従来のe-POWERの課題を克服した。

200kg重くなった新型車

 ただ、e-POWERを搭載した新型車は、先代のガソリン車よりも車両質量が約200kg重くなった。そのため、先代車のボディー骨格のままでは、全方位の衝突安全に対応するのが難しい。衝突安全性能を高めるために新型車では、先代車に比べてボディー骨格への高張力鋼板の使い方を変えた。

 先代車のボディー骨格に使う高張力鋼板は、引っ張り強さが980MPa級の冷間プレス材が最高強度だった。特に強度が求められる骨格の部位に980MPa級を適用した。ホットスタンプは使っていなかった。

 これに対して新型車では、センターピラーとフロントピラーのレインフォースメント(補強材)やルーフ・サイド・レールに、1.5GPa級のホットスタンプを適用した(図2)。

ボディー骨格への高張力鋼板の適用部位
図2 ボディー骨格への高張力鋼板の適用部位
先代車では980MPa級の冷間プレス材が最高強度だったが、新型車ではセンターピラーやフロントピラーの補強材、ルーフ・サイド・レールに1.5GPa級のホットスタンプを適用した。日産自動車の資料を基に日経Automotiveが作成。
[画像のクリックで拡大表示]